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フランスに善戦 ラグビー日本代表の進歩と懸念

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2017/12/1 6:30
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ラグビー日本代表が11月のテストマッチ3試合を終えた。結果は1勝1敗1分け。その中には強豪フランスからの初の引き分けも含まれる。日本にとって2019年ワールドカップ(W杯)に向けた明るい材料が多く出たが、なお残る課題への懸念も入り交じる。

フランス戦の前半、突進するリーチ(中央)=共同

フランス戦の前半、突進するリーチ(中央)=共同

23-23で引き分けたフランス戦は、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)就任後の10試合で最もよい内容だった。11月を通して圧巻のプレーを見せたFB松島幸太朗は「全てが自信になった」と話す。

苦しんできたセットプレーは改善した。ラインアウトは後半2度の勝負どころのミスは痛かったが、長いボールを多用するなどの工夫が奏功。身長差の割にはボールを確保できた。

ラインアウトからのモールも平均体重で4キロ強重いフランスFWの押しに耐えた。大胆に人数を割いたほか、「空中で競った後、すぐに切り替えてディフェンスに入るところがうまくいった」と姫野和樹は話す。

マイボールのキックオフではSOトゥランデュクに向けて高いキックを上げ、リーチ・マイケル主将らが猛追。トゥランデュクを密集に巻き込み、キックが苦手なFBスペディングに蹴らせることで敵陣での攻撃機会を得た。「プラン通り」とリーチは胸を張る。

若手も伸びた。SH流大は得意の速い球さばきのほか、密集で重圧を受けたときの対応も向上。代表デビューを果たした姫野は突破力に加え、密集戦でも好プレーを連発した。複数ポジションができるのも強みで、フランス戦ではフランカー、ロック、フランカー、ロック、フランカー、ロックと5度もポジションを変えて奮闘した。

攻守の新戦術、徐々に浸透

10月から導入した攻守の新戦術もややこなれてきた。最初のトライは左のラインアウトから右、左と大きく攻撃。速い球出しで防御が崩れたとみるや、流が決めごとを破ってすぐに左の狭いスペースへ展開。SO田村優の球をはたく美技から、フッカー堀江翔太が仕留めた。組織と個が融合した見事なトライだった。

10月の世界選抜戦と11月4日のオーストラリア戦では攻守ともにかなり粗かったことを考えると、2週間後のトンガ戦と続くフランス戦での挽回はやや驚きでもあった。急速にチームを立て直せた背景には、2つの理由があったように思う。

一つはジョセフHCの指導が柔軟性を増したこと。

フランス戦の日本は自陣からどんどんパスを回して攻めた。流れの中でのキックの頻度はパス13回につき1回。ジョセフHCの就任後はパス5回ほどに1回は蹴っていたから大きな変化。15年W杯の日本の平均値、パス10回につきキック1回も上回る。

「ボールをキープすることにこだわった」とジョセフHC。あまり前に上がらないフランスの守備に合わせたためでもあるが、結果的に松島ら日本の武器であるバックスのスピードを存分に活用できた。

ジョセフHCが1年間こだわってきたキック戦術の精度自体は徐々に上がってはいる。ただ、もともと日本の苦手分野だから完成度はまだまだ。トンガ戦でもキックミスからカウンターのチャンスを何度も与えた。

「キックするか、ボールを持って攻めるかのバランスは絶妙でなければならない」とHC。今から戦術の大枠を変えることはないだろうが、パス主体の攻撃が奏功したフランス戦の結果を受け、キックの使い方をより弾力的に考えていくのだろう。

ジョセフHCは目の前の試合に臨むアプローチも変えた。6月に主力の一人が話していた。「ジェイミーは(中長期的な)ターゲットをつくるのが嫌い。『1試合1試合に勝ちたい』という」。よくいえば常に全力投球。悪くいえば選手がW杯までの道筋をイメージしにくい。

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