2018年11月13日(火)

すき家、角を矯められた牛丼の「革命児」

コンフィデンシャル
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2017/12/1 6:30
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牛丼チェーン最大手のすき家が11月22日、値上げを発表した。激しい値下げ合戦をしかけ外食売上高トップになったが、深夜の1人勤務(ワンオペ)で過重労働を指摘されたダメージからはまだ回復できていない。東大全共闘出身の創業者、ゼンショーホールディングス会長兼社長の小川賢太郎(69)の闘争心の火は消えてしまったのか。

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「安さのイメージしかなかったのに、値上げは痛い」。11月29日正午ごろ、東京都内のすき家で牛丼大盛りを頼んだ30代の男性会社員は苦笑いした。すき家は11月22日、大盛りを470円から480円に、特盛りを580円から630円に引き上げる(並盛り350円のまま)と発表したのだ。

ライバルは驚いた。並盛り380円、大盛り550円の吉野家の幹部は「原材料高とはいえ、値上げが客足に与える影響は大きく、まさかすき家が動くとは」と話す。

すき家といえば、2009年ごろからの牛丼値下げ競争の仕掛け人だ。ゼンショーは14年4月の消費増税に合わせて、逆に並盛りを280円から過去最安の270円に引き下げた。15年4月に牛丼業界は牛肉高騰に見舞われ、ゼンショーも並盛りを350円に値上げした。だが同時に牛肉とタマネギを2割増量し、価格も吉野家より30円安い水準をなんとか維持し、客数減を最小限に抑えた。

だが、今回はコメや牛肉の高騰、人件費の上昇を上乗せした単純な価格転嫁だ。これまで値上げする時は全サイズで一律が基本だったが、今回は客離れの影響の大きさから注文が多い並盛りとミニサイズは据え置くことを決断した。

異変が起きたのは今秋。「これ以上のコスト増は限界です」。ゼンショー幹部は、会長兼社長の小川に値上げに踏み切りたいと訴えた。米国産牛肉の市場価格は4~9月に42%上昇し、コメの価格も9%高騰した。

ゼンショーは、コスト増の要因について「アルバイトなどの人件費増はあるが、それがメインではない」と説明する。だが、ボディーブローのように効いているのは確かだ。2014年の過重労働騒動の後、全国約2000店のうち1200店で停止した深夜営業の再開はいまだに途上だからだ。

■深夜営業、まだ100店舗で再開できず

2014年春、一部のバイトの欠勤で100店以上が一時休業したのが発端だった。原因の一つが深夜の1人勤務体制、いわゆる「ワンオペ」。ゼンショーはワンオペをすぐ解消できない約1200店で深夜営業を休止した。

当初はバイトの時給を2%、平均で約20円引き上げてアルバイトを確保してきたが、各業種での深刻な人手不足で再開ペースが急速に鈍った。「ワンオペなし」で深夜営業を再開するには、予備のアルバイトを含め1店に最低で6~7人の確保が必要という。全店再開の目標時期は延びに延び、現在でも約100店舗が残ったままだ。

小川自身はワンオペが諸悪の根源とされるのに抵抗を感じていたようだ。

コンフィデンシャル 今週のラインアップ
#15 もう限界だ 東レがトヨタに「異議あり」(11.27公開)
#16 あなたは見られている 中華フィンテックの闇(11.28公開)
#17 アマゾンをひっくり返せ インド13億人市場に伸びる手(11.29公開)
#18 100億円買収提案も クラフトビール争奪戦(11.30公開)
#19 すき家、角を矯められた牛丼の「革命児」(12.1公開)

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