2017年12月15日(金)

岩槻人形博物館ようやく着工 60年代から構想

コラム(地域)
2017/11/29 22:00
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 さいたま市が、日本有数の人形産地である岩槻区に開設する「岩槻人形博物館」(仮称)の建設が始まった。構想は旧岩槻市時代の1960年代からあったものの地元との調整などが難航。関係者の「悲願」となっていたが、ようやく着工にこぎ着けた。2020年東京五輪・パラリンピック前の19年度末に開館する予定で、さいたま市は観光、経済発展の起爆剤にしたい考えだ。

和のおもむきを基調とした建物を建設する(完成イメージ)

 同博物館は旧岩槻区役所跡地に、事業費18億6732万円をかけて建設する。鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造の平屋で、延べ床面積は2095平方メートルだ。

 岩槻などさいたま市内の人形づくりや、節句人形などについて常設展示で紹介。岩槻人形協同組合が寄贈し市が所蔵する「西沢笛畝コレクション」など貴重な人形資料の企画展示も行う。資料の収集や保存、調査研究のほか、情報発信や交流促進にも取り組む。市岩槻人形博物館開設準備室は「人形の文化史を学術として構築していく施設にしたい」と話す。

 隣接地には岩槻の情報発信とにぎわい創出を図る「にぎわい交流館いわつき」も設ける計画だ。

 博物館は年間約7万4000人の来館が目標。経費は年1億4550万円かかり、観覧料や講座などによる収入は2575万円にとどまる想定だが、市は建設投資で35億円、博物館稼働で年間約3億円の経済波及効果が見込まれると説明する。

 19日に地元関係者などを集めて開いた起工式で、清水勇人市長は「博物館は岩槻の人形文化に対する市民の夢と愛情、誇りが形に表れたもの。多くの来館者でにぎわい、岩槻の人形文化の継承と発展のための拠点として愛されることを願う」と述べた。

 地元では歓迎の声が大きい博物館だが、少子化や節句離れの影響を受ける岩槻の人形づくりの振興や、大宮、浦和などと比べて発展が遅れている岩槻の活性化につなげるには課題も多い。

 例えば、岩槻の人形は、高級なひな人形と五月人形が中心。頭(かしら)づくりや小道具づくりなどを分業で行うため、小規模な工房が多く、現状では見学者の受け入れにも対応しきれないという。

 岩槻人形協同組合の新井久夫理事長は「博物館は悲願だが、ここだけでは完結しない」と指摘。「組合として博物館に協力するとともに、手軽に買ってもらえる土産品の開発や、短時間でできる製作体験の考案など、観光客の受け入れ体制整備に努力したい」と話している。

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