2018年8月17日(金)

起業家大国イスラエルに学べ 東京でサミット

スタートアップ
AI
2017/11/29 18:47
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 「中東のシリコンバレー」と呼ばれるイスラエル発のスタートアップなどについて議論するジャパン・イスラエル・イノベーションサミットが29日、東京都内で開かれた。日本の大手メーカーの研究開発や投資部門の担当者ら150人ほどが参加。現地の起業家やベンチャーキャピタリストらが関係強化を呼びかけた。「起業家大国」の技術力に注目する日本企業の進出が増えるなか、迅速な意思決定を求める声もあがった。

講演するイスラエル革新庁のアーロン最高経営責任者(CEO)(東京・港区)

サミットのパネル討論ではイスラエルと日本の企業文化の違いについて議論が交わされた

イスラエルのスタートアップ文化について話す連続起業家のアビノアム・ノボグロドスキー氏

 「イスラエルには300超の多国籍企業が進出しており、米アップルが海外初の研究開発拠点の地に選んだ場所だ」。サミット冒頭、イスラエル革新庁のアーロン・アーロン最高経営責任者(CEO)は「第2のシリコンバレー」をアピールした。前職はアップル現地法人のトップを務めた同氏。イスラエルでは軍がイノベーションのゆりかごとして絶大の力を持つが、企業や大学間の連携も強い。「非常に密なヒトのつながり」(アーロン氏)がイスラエルが成功する理由の一つだ。

 スタートアップの情報発信などを手掛けるイスラテックによると、イスラエルでは年最大1000社のスタートアップが誕生する。エグジットの実績も高く、2016年にはおよそ100件のM&A(合併・買収)が成立、買収額は総額1兆円に上った。人工知能(AI)や自動運転技術など最先端技術を手掛ける企業が多く、日本企業の注目の的だ。イスラエルに拠点を持つ日本企業は約60社と、15年の30社超からほぼ倍増した。

 イスラエルのシリアルアントレプレナー(連続起業家)で、AIを活用した販売プロセスの最適化ツールを手掛けるインフロウズのアビノアム・ノボグロドスキー最高経営責任者(CEO)はワークショップで「イスラエルのスタートアップが高い技術力を持つ日本企業と協力すれば次のトップクラスのスタートアップ誕生も夢ではない」と指摘した。

 実際、ここ数年は日本企業によるイスラエル発のスタートアップ投資が続いている。楽天が14年に買収した通話アプリのバイバーはイスラエルを本拠とする。ソフトバンクが出資する米サイバーリーズンはAIを活用したウイルス対策ソフトを手掛けており、世界最高レベルの情報セキュリティー技術を持つとされるイスラエル国防軍の出身者らが設立した。

 そのエリート集団「8200部隊」の元司令官で、ベンチャーキャピタリストのヤイール・コーエン氏はパネル討論で「失敗を恐れる文化は、スタートアップを育むことができない」と強調しつつも、「イスラエル企業はスピード速く、課題解決に強みがある。規律を重んじる日本の大手企業と力を合わせたら、非常に大きな成果が得られるだろう」と期待を示した。

 近年、イスラエルのスタートアップ業界には米国、中国、欧州の大企業が続々と進出するなか、新興国のインド企業も接近。社外のアイデアや技術を取り入れる「オープンイノベーション」に速いスピードで挑んでいる。一方で「日本企業は意思決定が遅く案件が成就しにくい」(産業革新機構の志賀俊之会長)とマインドセットの変化を求める声が多い。大手企業は次世代技術の獲得のみならず、企業文化の変化も迫られている。

(企業報道部 駿河翼)

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