2017年12月17日(日)

松橋事件、福岡高裁も再審認める 85年の熊本の殺人

九州・沖縄
社会
2017/11/29 10:03 (2017/11/29 10:48更新)
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 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で1985年に男性(当時59)が刺殺された「松橋事件」で殺人罪などに問われ、懲役13年の判決を受けて服役した宮田浩喜さん(84)の再審請求を巡る即時抗告審で、福岡高裁(山口雅高裁判長)は29日、昨年の熊本地裁に続いて再審開始を認める決定をした。

福岡高裁前で「再審開始」の垂れ幕を掲げる原告の弁護団(29日午前、福岡市中央区)=塩山賢撮影

福岡高裁前で「再審開始」の垂れ幕を掲げる原告の弁護団(29日午前、福岡市中央区)=塩山賢撮影

 決定は、弁護側が提出した新証拠によって、有罪判決の根拠となった宮田さんの自白の信用性が「大きく揺らぐ」と指摘。検察側が申し立てた即時抗告を棄却した。

 事件は85年1月、松橋町の男性宅で発生。男性を小刀で突き刺し殺害したとして逮捕・起訴された宮田さんは、捜査段階で犯行を自白したが、一審・熊本地裁の公判中に否認に転じた。有力な物的証拠がない中、同地裁は86年、自白の任意性や信用性を認めて懲役13年を言い渡し、90年に最高裁で確定した。

 宮田さん側は2012年に再審を請求。弁護側は「傷口と小刀の形状が合わない」とする鑑定書を提出したほか、検察側の証拠開示で、宮田さんが「小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」と供述したシャツの布切れが、血の付いていない状態で見つかった。熊本地裁は昨年6月に「自白には客観的事実との矛盾がある」として再審を認めた。

 山口裁判長は29日の決定理由で「燃やしたと供述した布切れが実際には存在したことになり、(宮田さんが)事実に反する供述をしたというほかない」と指摘。「取り調べで捜査官に迎合して事実に反する供述をした可能性が否定できなくなる」とも述べ「確定判決の理由の相当部分は疑わしくなった」とした。

 その上で「新証拠によって、捜査段階の自白全体の信用性が大きく揺らぐ。犯人ではないという合理的疑いが生じた」と結論付け、再審開始を認めた熊本地裁の判断を支持した。

 宮田さんは99年に仮出所し、現在は熊本市の介護施設で生活している。認知症を患うなど健康状態に不安もあることから、弁護団は早期に結論を出すよう高裁に上申書を提出していた。

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