2018年12月14日(金)

トヨタ、焦燥の前倒し人事 外部人材も登用

2017/11/28 23:01
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トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある。異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのか。

「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まっている」。28日にトヨタが公表した発表資料では過激な表現が目を引いた。

これまでトヨタは1月に部長以下、4月に役員の人事を行ってきた。今回はデンソーアイシン精機といった主要グループ企業も巻き込み、時期を前倒ししての同時実施になる。トヨタのある役員は「経営環境がどんどん変わる時代に人事は1年に1度、4月という保守的な考えは合わない」とみる。

実際、トヨタは今年4月の役員人事が終わった後も6月、8月、11月と不定期で役員を異動させている。来年1月に就任した後も実績や環境の変化で交代がいつ起きてもおかしくない。交代時期の前倒しには、そうした緊張感を社内外に浸透させる狙いもある。実は8日前に今回の人事を予感させる言葉があった。

愛知県豊田市の本社で20日に開かれた経営陣と労働組合幹部による約150人の「労使懇談会」。豊田社長は経営難から苦渋のリストラを余儀なくされた1950年の労働争議に言及し、「当時を超えるほどに自分たちは腹をくくって努力をしているか。大転換期は惰性でなく、厳しい行動も必要」と強調したという。

今年はトランプ米大統領がツイッターでトヨタを批判し、合計で人口27億人の中国とインドが電気自動車(EV)を優遇する政策を鮮明にした。トヨタには逆風が吹き続けている。これまでの慣例にとらわれている余裕はない。

専門性の高い分野でトヨタ出身者以外を登用するのも今回の人事の特徴だ。常務役員に就く豊田通商の今井斗志光執行役員はアフリカ事業のキーマン。トヨタのアフリカでの新車販売は16年に18万台強と世界全体からみればわずか2%で現在の優先順位は高くない。だが50年には人口が2倍の24億人に増え所得水準も向上する。既存のメンバーでは難しい有望市場の開拓を今井氏に託す。

三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員を迎え入れるのも従来のトヨタにはなかった発想だ。福留氏はトヨタファイナンシャルサービスの社長に就き、シェアリングの普及などで重要性が増す販売金融の強化を担う。

主要な部品会社との間での役員異動も目立つ。例えば副社長に就くデンソーの小林耕士副会長。トヨタ出身だが03年にデンソーに移っており「年齢からも異例の復帰」(主要部品メーカー幹部)だ。アイシン精機傘下のブレーキ大手、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の小木曽聡社長も約2年半ぶりにトヨタに戻る。一連の人事の背景には「より一体感を持たないと勝てない」(トヨタ幹部)との危機感があり、グループ再編への意志もみえる。

トヨタの17年度のグループ世界販売台数は1025万台の見通し。5年連続で大台を超えるものの、売上高の成長は鈍る。そうしたなか競争力をどう磨くのか。自動運転や電動化といった次世代分野でぶつかるのは米グーグルなどの異業種だ。スピード感も従来とは違う。最大の経営課題となる社長の後継者育成も含め、新体制の責任は重い。(工藤正晃)

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