日銀ETF 時価20兆円 9月末、自己資本の2.5倍に 将来の損失リスクも

2017/11/28 19:31
保存
共有
印刷
その他

日銀の財務が株価の影響を受けやすくなっている。28日公表の4~9月期決算によると、上場投資信託(ETF)の保有時価が20兆3千億円と3月末から4兆4千億円増えた。年6兆円ペースで買っているうえ、株価が上昇したためだ。保有時価は自己資本の2.5倍。含み益は過去最大の4兆2千億円となったが、株安時に資本を毀損するリスクと裏腹にある。

日銀はETF購入を2%の物価目標達成に向けた施策の1つと位置づけている。昨年7月にはETFの購入額を年3兆3千億円から6兆円に増やした。購入期限は区切っておらず、今後も大規模な購入を続ける。

この5年間は株高基調にあり、時価が購入簿価を下回ったことがない。ただ日銀の資本に対するリスクは積み上がっている。日銀の自己資本は8兆1千億円。ETFの保有時価は9月末で2.5倍で、今年度中に3倍を超える可能性もある。

日銀の会計ルールではETFの時価が簿価を下回ると、その差額を引当金として計上する。実際に売却しなくても、自己資本が減る要因になる。

最近は株価が高い水準で巨額のETFを買っているため、購入単価も上がっている。日経平均株価で含み損に転じる水準を試算すると1万6000円強。ETFを買い続けると、この損益分岐点もさらに上がっていく。将来含み損に転じるリスクは無視できない。

物価上昇率は0%台で低迷しているため、今のところETFの大量購入を見直す機運は乏しい。ただ、10月の金融政策決定会合ではETF購入を巡って「政策効果と副作用についてあらゆる角度から点検すべきだ」との意見も出た。株価形成への影響も含め、長い目でみた副作用には日銀も関心を高めている。

将来の利上げ局面では日銀の財務に負担がかかる可能性がある。金融機関から受け入れている当座預金への利払い費が国債の利息収入を上回る「逆ざや」も懸念される。4~9月期決算でも5972億円の国債利息のうち、2279億円を引当金に計上した。

日銀の自己資本比率は8.12%と、既に健全性の目安とする8~12%の下限に近い。資本が薄くなると、「通貨価値の安定にも悪影響を及ぼしかねない」(元審議委員の木内登英氏)。日銀は物価目標を最優先に掲げてきたが、財務の健全性にも目配りする必要性が徐々に高まっている。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]