2018年12月16日(日)

戸建ての省エネ基準適合率は大規模住宅を上回る

BP速報
2017/11/28 23:00
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日経ホームビルダー

国土交通省の調査によると、2015年度における戸建て住宅の省エネ基準への適合率は53%と半数を超えたことが明らかになった。これに対して、2000m2(平方メートル)以上の大規模住宅が36%、300m2以上2000m2未満の中規模住宅が44%、300m2未満の小規模な共同住宅が46%だった。住宅の規模が小さくなるほど適合率が高いことが分かった。

小規模住宅の基準適合率は51%で、大規模の36%、中規模の44%を上回っている。省エネ基準よりも、さらに高い水準の性能を求める「誘導基準」の適合率も同じ傾向が見られる(資料:国土交通省)

小規模住宅の基準適合率は51%で、大規模の36%、中規模の44%を上回っている。省エネ基準よりも、さらに高い水準の性能を求める「誘導基準」の適合率も同じ傾向が見られる(資料:国土交通省)

現行の省エネ基準は13年10月に施行されたものがベースになっている。1999年施行の旧基準と異なり、新たに1次エネルギー消費量基準を導入。冷暖房設備、換気設備、給湯設備、照明設備などの1次エネルギー消費量を算出して合計する。また、外皮性能(断熱性能や日射取得量)の計算方法については、99年基準では建物表面から失われる総熱量を床面積で割った「熱損失係数(Q値)」を用いたが、13年基準では総熱量を建物の表面積で割った「外皮平均熱貫流率(UA値)」を使う。 16年に一部を改正した。

この省エネ基準は、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)によって20年までに住宅を含むすべての建築物の適合義務化が予定されている。適合義務化は建物の床面積に応じて段階的に進められており、延べ面積2000m2以上の非住宅建築物は既に17年4月から義務化ルールの運用が始まっている。今回の調査は建築物省エネ法の施行状況を把握し、適合率向上に向けた課題を洗い出すのが目的だ。

調査に当たっては、延べ面積が2000m2以上の大規模住宅、300m2以上2000m2未満の中規模住宅は省エネ計画の届け出が義務付けられているので、省エネ計画から基準適合率を算出。一部、届け出のなかった物件があることも考慮して、適合率を補正した。300m2未満の小規模住宅については届け出義務がないため、大手ハウスメーカーやパワービルダー、中小工務店など約4万社を対象にアンケート調査を実施。着工数や部位別の仕様、設備別の仕様について調査し、得られた回答をもとに算定した

調査の結果、小規模住宅の省エネ基準への適合率は51%で、大規模住宅の36%、中規模住宅の44%より高かった。戸建て住宅に限れば53%とさらに高い。省エネ基準よりも高い水準の性能を求める「誘導基準」への適合率も、小規模は31%だったのに対して、大規模が14%、中規模が17%と規模が大きいほど低かった。

■RC造の適合率の低さが際立つ

省エネ基準への適合率が36%と低い大規模住宅だが、構造別に適合率を見ると、木造が85%、鉄骨造(S造)が60%、鉄筋コンクリート造(RC造)が35%となっており、木造、S造に比べRC造の適合率の低さが際立っている。この傾向は戸建て住宅でも同じで、木造が51%、S造が55%なのに比べRC造は10%と低い。規模の大小に関係なくRC造の省エネ基準への対応が遅れているといえる。

大規模住宅(延べ面積が2000m2以上)の適合率を構造別に見ると、木造が85%、S造が60%であるのに対して、RC造は35%とかなり低い(資料:国土交通省)

大規模住宅(延べ面積が2000m2以上)の適合率を構造別に見ると、木造が85%、S造が60%であるのに対して、RC造は35%とかなり低い(資料:国土交通省)

国交省では、「柱と柱の間に断熱材の充てんが難しいRC造では、内断熱を選択するのが一般的だ。しかし、そうすると専有部分の面積が減ってしまう。部屋を狭くしてまで、断熱材を厚くして断熱性能を確保する必要はないと考えている事業者が多いせいではないか」とみている。

戸建て住宅のなかでも、住宅会社の規模による達成率の違いが鮮明になった。住宅トップランナー制度において勧告対象となり得る年間150戸以上の建て売り戸建て住宅を供給する事業者では、省エネ基準の適合率は88%であるのに対して、着工戸数4戸以下の事業者では、その半分以下の39%しかない。さらに高い性能が求められる誘導基準への適合率に至っては、年間着工戸数150戸以上の事業者では86%だったが、年間着工戸数が4戸以下の小規模事業者では27%と低かった。

とはいえ、誘導基準への適合率では、年間着工戸数が4戸以下の小規模事業者も27%あることから、国交省では「中小工務店でも省エネ基準に達成してる事業者の多くは誘導基準も達成しており、対応できない工務店との二極化が進んでるようだ」と分析する。今後は建築物省エネ法がどの程度まで浸透しているかを調査するなどして、省エネ基準に対応できていない工務店などへの対策を講じる考えだ。

(日経ホームビルダー 田口由大)

[日経アーキテクチュアWeb版 2017年11月28日掲載]

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