2018年11月17日(土)

東京電機大、容量落ちにくい電極材料
ナトリウムイオン電池用

科学&新技術
2017/11/28 8:07
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東京電機大学の藪内直明准教授らは充放電を繰り返した際の容量の低下を抑えた次世代の蓄電池「ナトリウムイオン電池」の電極材料を開発した。正極と負極の材料を変更し、数十回充放電を繰り返しても容量を約9割維持できるようにした。今後、電池を試作して寿命などの性能を高める。電気自動車(EV)などの電源として実用化を目指す。

デンカと共同でナトリウムイオン電池の負極を開発した(東京電機大の藪内准教授提供)

デンカと共同でナトリウムイオン電池の負極を開発した(東京電機大の藪内准教授提供)

ナトリウムイオン電池の基本的な仕組みは、EVなどに使われるリチウムイオン電池と同じだ。リチウムイオンの代わりにナトリウムイオンが正極と負極の間を行き来することで充放電を繰り返す。希少金属のリチウムではなく、海水などからも採取できるナトリウムを使うことで安価に作れる。次世代の蓄電池と期待され、様々な電極材料の検討が進んでいる。

藪内准教授らは正極材料としてマンガン酸化物が層状になった物質に注目した。ナトリウムイオンが入り込めるほどの隙間のある結晶構造をしており、ナトリウムイオンを蓄積するのに適していた。このままでは充放電を繰り返すと、すぐに容量が下がる欠点がある。マンガンの約2割をチタンに置き換えると、充放電を30回繰り返しても、容量は約1割しか減らなくなった。

負極材料は中堅化学のデンカと共同開発した。デンカが開発した2種類の樹脂を組み合わせた高分子(ポリマー)を、負極材料の接着剤となる「バインダー」に活用した。負極材料にはクロムや酸化チタンを含む物質を使った。

従来のバインダーでは最初の放電の際、蓄えた電気の2割以上が失われた。新技術では初回に充電した電気の損失を約1割に抑えられた。その後、充放電を約100回繰り返しても容量はほとんど下がらなかった。

今後は電池を試作して性能を確かめる。混ぜる元素の種類や割合などを変えて寿命を延ばす改良をする。太陽光などで発電した電気を蓄える定置用の大型電池への応用を目指す。

英仏中は将来的なガソリン車の販売禁止を検討しており、EV向けの電池の需要はますます高まる見通し。近年、リチウムの価格は高騰している。藪内准教授は「リチウムイオン電池に性能で少し劣っても、安くなれば需要はある」とみている。

(科学技術部 遠藤智之)

[日経産業新聞 2017年11月28日付]

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