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エジプトテロ 「イスラム国」急進勢力主導か

拠点失い戦略シフト

【イスタンブール=佐野彰洋】過激派組織「イスラム国」(IS)がテロ戦略を転換した可能性がある。24日のエジプト東部シナイ半島のモスク(イスラム教礼拝所)を襲ったテロでは300人以上を殺害した。ISはシリアやイラクで拠点を失い退潮が明白だが、ISと同じスンニ派のイスラム教徒にも攻撃の対象を広げることで信奉者へ劣勢挽回に向けたメッセージを発信した。ISの中でも急進的な勢力が主導したとの見方もある。

今回のテロでは犯行声明は出ていないが、エジプト当局は実行犯がISの旗を持っていたと指摘している。シナイ半島ではISに忠誠を誓う「ISシナイ州」が軍や警察への襲撃を続けており、同組織にはシリアやイラクから逃れたIS戦闘員も合流したとみられている。

これまでISはキリスト教などの異教徒、また同じイスラム教でも異端視するシーア派をテロの対象としてきた。24日のテロを巡ってはイスラム教スンニ派の神秘主義(スーフィズム)信徒が多数犠牲になった。流入したIS戦闘員の中でも特に過激な勢力が主導したとの見方が浮上している。シシ政権による過激派掃討作戦に協力的な部族を標的にしたとの情報もある。

ISは7月に最大拠点であるイラク北部モスルを、10月に「首都」と称してきたシリアのラッカを失った。11月に入りユーフラテス川沿いに最後まで残っていた拠点もシリア、イラク軍によって制圧されたもようだ。

物理的な「領土」を喪失した後も元戦闘員や支援者のネットワークは存在し続ける。同じスンニ派のイスラム教徒でも自らに敵対するとみなす人々を狙った今回のテロは「世界各国に潜む信奉者への強いメッセージになる」(在欧州の外交筋)。社会を不安に陥れることで存在を誇示する狙いだ。

エジプトでは2013年にシシ大統領が事実上の軍事クーデターにより実権を掌握した。テロ対策を強化する半面、治安維持を名目とする野党関係者の逮捕も相次いだ。政情不安に加え、経済も低迷。エジプトのこうした国内事情もISのような過激派にとってつけ込む余地を与えている。

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