2018年8月22日(水)

ウーバー、規制で手詰まり 日本でタクシー配車優先

2017/11/27 22:00
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 ライドシェア(相乗り)世界大手の米ウーバーテクノロジーズの日本事業が曲がり角を迎えている。27日、日本では当面タクシーの配車サービスに専念する方針を示した。ウーバーは日本法人社長の退任も明らかになっている。タクシー業界の反発や規制を前に日本市場を攻めあぐねており、民泊分野で規模を拡大する米エアビーアンドビーとの明暗が鮮明になってきた。

ウーバーは世界各地で規制の壁に突き当たっている

ウーバーは世界各地で規制の壁に突き当たっている

 「タクシー会社とのパートナーシップに優先的に取り組んでいく」。同日開いた日本事業の説明会で、アジア事業責任者のブルックス・エントウィッスル氏はこう強調した。自家用車で乗客を運ぶライドシェア事業を諦めたわけではないが、「規制当局との対話を重視している。スピーディーに進まない市場もある」と規制に従う考えを示した。

 米国本社では創業者のセクハラ問題や個人情報の流出などで経営の混乱が続いている。日本法人でも高橋正巳社長の退社が明らかになったばかり。エントウィッスル氏は「後任を含め日本で人材を探している」とした。

 ウーバーはこれまで「破壊者」という批判を顧みずに事業を広げてきた。だが創業者の辞任や地元政府の反発など世界的な逆風を受け、「稼働率を高められる」としてタクシー業界と協調する姿勢を打ち出している。

 タクシーとの連携はアジア全体の戦略だが、日本は状況が異なる。シンガポールでは自家用車の運転手が有償で運送できる制度が設けられるなど、規制緩和を実現した。

 日本では政府の規制改革推進会議でライドシェア解禁の議論が始まっているものの、実現に向けた抜本策は先送りされたままだ。国土交通省は安全性を理由に慎重な姿勢を崩しておらず、ウーバーはタクシーと組まざるを得ない状況が続く。

 連携を探るタクシー業界からも「手数料が高すぎて中小の事業者には受け入れられない」(タクシー大手首脳)という声が多い。ハイヤーやタクシー配車の対象地域は都内から広がらない。

 一方、ウーバーが日本でハイヤーの配車を始めた2014年に日本進出を果たしたエアビーは国内で約5万6000室を登録し、利用者数は年間で約500万人に上る。同社の推計では16年の経済効果は9200億円と15年比で8割増えた。

 旅館業法の許可を得ない民泊物件が「ヤミ民泊」として認められていないのは自家用車による有償での運送が「白タク」として禁じられるのと同じ。それでも20年の東京五輪に向けホテルの客室不足が懸念されていることを背景に、事業を拡大し、規制緩和の呼び水を自ら作った。

 一方、国内のタクシーの輸送人員は減少傾向にある。特に都市部ではライドシェアの需要が民泊ほど高くないことが、両者の明暗がくっきりと分かれた原因だろう。

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