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イチロー、代打安打記録追って達した新境地
スポーツライター 丹羽政善

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2017/11/27 6:30
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 10月1日の今季最終戦。4点を追う七回、マーリンズのイチローは大きな声援を背に代打の打席に立った。

 この試合は相手のブレーブスにとっても、順位には無関係な消化試合。それでも本拠地マーリンズ・パークの客席が珍しく埋まり、2万5222人のファンで沸き返った。それもそのはず。マーリンズの主砲ジャンカルロ・スタントンが今季通算59本塁打で最後の試合を迎え、1打席でも多く打席が回るようにと打順1番に入っていた。普段は姿を見せないスポーツ専門チャンネル「ESPN」など、ナショナルメディアの姿があったのも60号達成を見据えてのことだろう。

 ただこの日、節目の数字を視界に捉えていたのはスタントンだけではない。イチローはそれまで代打で27本の安打を積み重ね、あと1本で1995年にジョン・バンダーウォール(当時ロッキーズ)がマークした28本という代打の年間安打記録に並ぶという状況だった。

 その時、ゆっくりと打席に向かうイチローに拍手が送られ、1球ごとにスタンドからイチローコールが湧き上がったのは、派手ではないが、この記録の持つ重みがそれなりに評価されてのことではなかったか。くしくもイチローはフリーエージェント(FA)で、スタントンはトレードでそれぞれチームを去る可能性があり、ファンはその姿を目に焼き付けようと特別なまなざしを彼らに向けていた。イチローは実際、そのおよそ1カ月後にマーリンズのユニホームを脱ぐことが決まった。

その記録と遭遇するとは…

 代打安打記録そのものについては「この数字自体、関心があったものではなかった」と話したイチロー。ただ、徐々に向き合い方が変わっていったようだ。

 「代打のヒットの数――その記録と遭遇すると思っていなかった。ただ、(長く)やっていればこういうものにも出合うというか。そういうシーズンでもあった。長いことやっているということはそれなりに意義があると思いましたね。正しいチャレンジかどうかというと、確実にそうでしたから」

 決して開幕前に意識するような記録ではない。それでも見えてきたとき、その挑戦は価値を持った。また、なぜ記録が28本なのか。追う過程でそれが必然の結果ではないか――というところまで行き着いたのは興味深い。

 「(代打を続けて)何かを悟ることはない。毎日レギュラーで出ていれば、打撃だけは簡単になる。まぁ、打撃と守備。走塁が簡単になることは絶対にないですけれど、打つことは簡単になる瞬間がたまにあるんですよ。(代打では)それは絶対にないですね。これだけ長い時間や歴史があっても、(代打での最多安打が)結局28本というのに集約されているのではないですか」

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