2019年6月25日(火)

米HPE、メグ・ホイットマンCEO退任へ 名門再建道半ば

2017/11/22 21:34
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米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は21日、メグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO、61)が2018年1月末で退任すると発表した。パソコン事業が不振に陥っていた名門HPの再建を任されてから約6年。ホイットマン氏は会社分割をはじめとする改革を断行したが、シリコンバレーのIT大手との企業価値の差はむしろ広がった。完全復活を果たせぬままでの降板となる。

「6年かけて変革をやり遂げたからこの継承ができた。私がCEOに就いたとき、この会社に課題がどれだけあったか覚えているでしょ」。21日の電話会見でホイットマン氏はこう話し始めた。

シリコンバレーの「発祥」となる企業でありながら、不正会計などによる経営トップの引責辞任や解任が続き、パソコンの競争激化に苦しんでいたHP。11年に船頭役を託されたのが、電子商取引のイーベイを育てた女性経営者として名をはせた彼女だった。

同氏が「重大なステップだった」と振り返るのが15年11月に断行した会社分割だ。サーバーや記憶装置などの法人向け事業を担うHPEと、パソコンとプリンターを扱うHPの2社に分けた。「両社は戦略分野に投資し、強みに集中できるようになった」と言う。

16年に参入した3Dプリンター事業は、プリンターで培ったインクの噴射や硬化技術を応用。独BASFなど材料メーカーと提携して急ピッチで事業化した。11月初めに手続きを終えたサムスン電子のプリンター事業の買収も、分割後に生き残る道を考え抜いたからこそ打てた手だ。

とはいえ、同氏への評価は前向きなものばかりではない。「繰り返されるリストラと、それを功績として誇る彼女に社内は疲弊していた」と関係者は話す。

同氏はパソコン事業のリストラやソフトウエア事業の売却により、6年間で約10万人(約3割)もの人員を削減。「私が加わってから有利子負債を120億ドル減らした」と、財務体質の改善を自らの功績に挙げる。

ただ、成長を続けるシリコンバレーのど真ん中で、同社は「縮小均衡」を歩み続けた。11年10月期に1272億ドル(約14兆円)あった売上高は、17年10月期には2社合計で809億ドルに減った。

株式市場は正直だ。HPとHPEの時価総額の合計は10月末時点で604億ドルとホイットマン氏の就任時から35%の増加にとどまった。この間にアップルは2.5倍、グーグル親会社のアルファベットは4.4倍になっている。

後任CEOに就くアントニオ・ネリ氏(50)は1995年に顧客サービスの技術者としてHPに入社した生え抜きだ。技術に明るく、プリンターからサーバーまであらゆる事業に携わってきたという。すでに大統領選への出馬の噂が流れるホイットマン氏のような派手さはないが、社内の求心力は高められるかもしれない。名物経営者とは異なる方法で復活をなし遂げる胆力が求められる。

(シリコンバレー=佐藤浩実)

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