2018年2月18日(日)

メディアと共存共栄 グライダーアソシエイツ・杉本氏
NEXTユニコーンの騎手たち(5)

コラム(ビジネス)
スタートアップ
ネット・IT
2017/11/29 7:00
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 「大資本への集約が進むとネットではお金をかけない情報が増える。メディア側に根ざしたハブになり骨太な記事を届けたい」。キュレーションアプリ「アンテナ」を運営するグライダーアソシエイツ(東京・港)の杉本哲哉社長は、2度目の創業の思いをこう語る。リクルート出身らしい野心と緻密さを併せ持つ。

■リクルート辞め2度の創業

 早大では名門出版サークルに所属。英字新聞「ザ・ワセダ・ガーディアン」に携わり、幹事長として組織運営する醍醐味を感じた。就職の際も出版などメディアに興味があり、25年前のリクルート入社時には「リクルートの経営者、編集長になりたかった」。

 1990年代後半、「ウィンドウズ95」の登場であらゆる企業がネットビジネスにシフトするなか、リクルートの新規事業開発室に配属。後に公立中学の校長に就いた藤原和博氏とともに働き「社外で役立つ人間になる」との意識が根付く。

 マーケティングなどで外部の調査会社を使うと時間がかかることに目をつけ、商機があると判断。自らネット調査会社マクロミルを2000年に創業し、4年で東証マザーズに上場した。その後、ヤフーのネット調査事業との統合などで業界で確固たる地位を固めた。

■出版など提携メディアは350

 次の決断も早い。「市場調査は成熟化し、廉売競争が起きている」とみて、14年に米ベインキャピタル系ファンドの傘下入りを決断する。その前の12年に設立していたのがグライダーアソシエイツ。15年から完全に軸足を移した。

 「アンテナ」では時事ニュースは追わずテーマを生活、娯楽、文化に絞る。キュレーションサイトは既存メディアに警戒されやすいが、杉本氏は「出版という文化を温存したい」と他社とは一線を画す。ネットに及び腰の出版社のコンテンツをデジタルの世界に露出させ、彼らが取りこぼしてきた層を呼び込み広告収入の一部を還元する。

 大きな課題は米国のプラットフォーマーの情報覇権だ。「グーグルとは違う、誰の記事、何の記事という読者の興味・関心に横串を刺したメディアをつくりたい」。編集に対する思い入れが強い杉本氏の呼び掛けで、提携メディアは350に達した。既存メディアとの“共存共栄”の挑戦が続く。

(企業報道部 加藤貴行)

「NEXTユニコーンの騎手たち」ラインアップ
#01 宇宙追い続け新発想 インフォステラ・倉原氏(11.22 公開)
#02 ホリエモンの口癖が経営哲学 ウフル・園田氏(11.24 公開)
#03 仮想通貨、信頼回復へ奔走 ビットフライヤー・加納氏(11.27 公開)
#04 80歳元バンカーの電池革命 エリーパワー・吉田氏(11.28 公開)
#05 メディアと共存共栄 グライダーアソシエイツ・杉本氏(11.29 公開)

[日経産業新聞 2017年11月22日付]

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