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「英雄」から「独裁者」へ ムガベ政権37年に幕

【イスタンブール=佐野彰洋、テルアビブ=飛田雅則】ジンバブエのムガベ大統領(93)が21日、辞任した。独立闘争の「英雄」から野党を弾圧する「独裁者」へと変貌したムガベ氏。37年間の超長期政権は生活の困窮した国民に見限られ、軍や与党に反旗を翻されて、あっけない幕切れを迎えた。

現地からの報道によると、ムガベ氏の後任には、元側近で6日に第1副大統領を解任されたムナンガグワ氏(75)の就任が確実視されている。迫害を恐れて海外に逃れていた同氏は22日に帰国した。24日にも大統領に就任する見通しだ。

「辞任は自発的で、即時に効力を持つ」。21日午後(日本時間22日未明)、下院議長がムガベ氏からの手紙を読み上げると、弾劾決議案の審議を始めたばかりの議場は歓喜に包まれた。一報は直ちに国内外に伝わった。

15日以降、軍の軟禁下に置かれ、与党党首を解任されながらも辞任を拒んでいたムガベ氏は21日、閣議を招集した。しかし、集まった閣僚は数人だったとみられる。権力の喪失を悟り、弾劾可決前の「名誉ある撤退」を選択した。

元教師のムガベ氏はマルクス主義に傾倒し、1964年から74年まで獄中生活を送った。少数派の白人支配からの黒人解放闘争を主導し、80年の独立を勝ち取った。

独立後は白人との融和を進め、教育や医療水準の向上に努めるなどして繁栄を実現した。「ジンバブエの奇跡」と称賛された時期もあった。

しかし、2000年代以降、農業の発展を主導していた白人地主の土地の強制収用に乗り出し、経済が混乱。医療や衛生サービスの崩壊とハイパーインフレを引き起こした。

選挙では不正疑惑が付きまとい、抗議する野党は力で押さえ込んだ。経済制裁を科されるなど欧米との関係は悪化したが、中国や北朝鮮とは良好な関係を築いた。

退場の引き金を引いたのは政権の私物化だった。浪費癖が国民に嫌われていたグレース夫人(52)への禅譲を狙い、ムナンガグワ氏を解任。これが同氏と関係の深い国軍の介入を招いた。

ジンバブエは新たな時代に入るが、アフリカ大陸を見渡すと、ムガベ政権と同様に強権政治や汚職、身内の重用が目立つ長期政権が少なくない。今後、こうした政権の指導者への退陣圧力が強まる可能性もある。

スーダンを率いるバシル大統領はクーデターで政権を奪取した1989年以来、実権を握り続けている。バシル氏は民族紛争を巡る戦争犯罪などの容疑で、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を出された。2011年に油田地帯を抱える南スーダンが独立し、国家収入は減少し国内経済は疲弊している。

00年に就任したルワンダのカガメ大統領は3選を禁じた憲法を改正し、最長で34年までの続投を可能とした。民族融和による国内安定と、IT(情報技術)を中心とする経済成長をもたらした一方、メディアの閉鎖など強権支配でも知られる。

南アフリカのズマ大統領はインド系財閥との癒着が明るみに出た。19年の大統領選をにらみ、元妻を後任の与党党首に推しており、隠然と影響力を維持する狙いとみられている。

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