パナソニック、介護事業の売上高目標を下方修正、新人事制度で離職者抑制へ

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2017/11/22 18:18
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パナソニックが介護事業を現実路線に転換する。22日、2020年度に売上高500億円を目指すと発表。18年度に750億円としていた従来目標から大幅に引き下げる。介護施設の新設を急ぐ計画をやめて費用が先行する体質を改める。人事制度で、パート社員が正社員と同水準の時間給を受けながら柔軟に働き方を選べるようになる「時間制正社員」という新たな資格を設け、離職率を抑える。

介護事業について説明するパナソニックの片山栄一執行役員(22日、東京・世田谷)

パナソニックの介護事業は子会社の「パナソニックエイジフリー」が手がける。現在は、高齢者向けにバリアフリーの住居と介護サービスを提供するサービス付き高齢者住宅(サ高住)と、在宅介護サービス拠点を東京、名古屋、大阪を中心に92カ所に展開している。15年度の27カ所から急拡大し、18年度には350カ所にまで引き上げる計画だった。

パナソニックエイジフリーの社長を務める片山栄一執行役員は同日開いた事業説明会で「『量』の展開をいったんストップし、『質』重視の持続可能な成長にかじを切る」と説明した。拠点の立ち上げにかかる一時的な人件費などを減らし、まずは19年度の営業黒字化を目指す。

サービス事業者に国や利用者から支払われる介護報酬の15年の引き下げでサ高住の収益が想定以上に悪化したことや、介護士など人材の確保が難しくなったことも従来路線の断念につながった。

「時間制正社員」という新人事制度を設けるのは、同社で介護人材の約半数を占めるパート社員の離職により人材育成に関わる費用がかさむのを防ぐのが狙い。育児や親の介護で限られた時間で働かざるを得なくなっても、週20時間以上働けば通常のパートの1~2割多い時間給を得られる。退職金制度も適用する。同様の制度はこれまで介護業界になかったという。

片山氏は「1~2年でみれば収益にマイナスだが、将来の競争力のけん引役はあくまで社員になる」との見方を示した。いったん介護職から離れた主婦層も取り込む。

在宅介護サービス拠点ではデイサービスにリハビリなどを加える新サービスを増やし、稼働率の低迷を改善する。

サ高住では高齢者の安否を確認する見守りサービスなどのオプションを加え、高価格のサービスを提供することで幅広い層の入居者の獲得を目指す。パナソニックグループ全体の技術を生かしたロボットや施設への送迎支援システムなどの開発を増やし、他の介護事業者との差別化も図る。

片山氏は1月に介護事業の担当役員になった後、7月にパナソニックエイジフリーの社長に就任した。「スピードを上げて路線転換を確実にやりきるには事業に深くかかわる必要があった」(片山氏)といい、今後は収益改善を着実に進めていくことになる。施設事業では土地などの資産が少ない強みを生かし、20年度に投下資本利益率(ROI)で25%程度と、10%前後が多い介護業界で効率的に事業運営できる体質づくりも目指す。

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