見た目鮮やか X'masに食べたいハムやパテ10選

上品な香りとこくのある肉のうまみが口に広がる。
クリスマスにはぜいたくに盛り、みんなで楽しもう。
クリスマスの肉料理といえば、鶏のオーブン焼きやローストビーフが定番だが、今年はオシャレに「シャルキュトリー」を加えてはどうだろう。シャルキュトリーとは、フランス語でハムやパテなど主に豚肉を使った、食肉加工品の総称を指す。
ヨーロッパには厳しい冬に備え、食肉を塩漬けや乾燥、薫製などにして保存してきた歴史がある。古代ギリシャ時代にまでさかのぼる先人の知恵だ。塊で買っても冷蔵保存で長く楽しめるものが多い。フランスの街角には専門店があり、職人が手作りするこだわりの商品が並ぶ。「野菜と一緒に家で楽しんでいる」とパリに詳しいエッセイストの吉村葉子さん。部位や製法で450種にものぼるという。
ハムやサラミ、パテなど違う種類を皿に盛り込めば、見た目に楽しく、いくつもの味が楽しめる。切って盛るだけなので手軽だ。ワインとの相性も抜群で、あっさりしたハム類は白ワイン、脂肪分の多いサラミは赤ワインなどもいいだろう。サラダに加えたりパンに挟んだりすればメインにも早変わりし、パーティーを盛り上げてくれる。

食感しっとり 芳醇な香り マース (熊本県益城町)

「ジャンボン」はフランス語で豚モモ肉、「ブラン」は白の意味。湯で加熱した淡いピンク色のハムだ。マースは2013年創業。熊本のミネラル豊富な火山灰土壌と清らかな水で育つ阿蘇自然豚を使う。
「飽きずにたくさん食べられるハムを」との思いで生まれた。ゆっくりと湯で温めることでジューシーなうまみをとじ込めた。漬け汁に控えめに加えた香辛料が芳醇(ほうじゅん)さを際立たせる。口に運べば「しっとりとした食感でまろやかな甘みが広がり、脂身部分の口溶けもいい。色合いも美しくぜいたくな一品」(小沢誠一さん)。
オススメの食べ方は「サンドイッチやサラダで」(マース)。バターを塗ったバゲットにのせればこくも増す。「冷えた白ワインに最適」(山本圭一さん)との声も。「塩分少なめで子どもでも食べやすい」(伊藤文彰さん)。
(1)100グラム(2)691円(3)http://skweb.marubishi-group.co.jp/
カマンベールの菌で熟成 キュルノンチュエ (岐阜県高山市)

創業者は薫製で有名なフランスの山近い街で修業。帰国後、気候や風土が似た飛騨山地に店を構えた。作るサラミは「発酵と乾燥がしっかりしており、香りや塩味のバランスも抜群」(石塚奈帆美さん)。鹿児島県霧島高原の黒豚モモ肉と国産豚バラ肉をソーセージに加工し、カマンベールチーズと同系統の白かび菌をつけて約3週間熟成。水分がよく抜けうまみが増す。「見た目も美しい」(吉村葉子さん)。
白かびは落とさず1~2ミリに薄く切って食べる。粗びきコショウがピリッと利き、かみしめるほどにうまみがあふれ出す。ビールにも最適。「食卓に出せば、みんな笑顔になるはず」(斉藤賢太郎さん)
(1)100グラム(2)1620円(3)https://www.curnontue.jp/
脂身少なくスモーキー 唐津くん煙工房 (佐賀県唐津市)

佐賀県と大分県の和豚もちぶたのヒレ肉を使用。脂身が少なくカロリーが気になる人へもオススメ。「スモーキーな風味で食べやすい。しっかりとした赤ワインに合わせ、セロリやトレビスなど苦みのある野菜と一緒に食べたい」(祐成二葉さん)。
きめ細かで弾力のある肉質の特徴が生きる。氷点下1~3度での熟成でアミノ酸や糖類が蓄えられ、パサつきやすいヒレ肉がジューシーに。「うまみ、香りともにいい」(民輪めぐみさん)。「手で裂いて食べれば、独特の食感も楽しめる」と唐津くん煙工房の大野誠悟さん。黒コショウがきいており「リンゴソースなど、果物と一緒だとより味が際立つ」(野田浩資さん)。
(1)150グラム(2)1458円(3)http://furusato-ippin.co.jp/
緑鮮やか、付属のソースと相性よし レザンファンギャテ (東京都渋谷区)

フランス料理店の自信作。豚足をタマネギなど香味野菜と煮込み、そのブイヨンで鶏肉も炊く。「パセリの緑が鮮やか。具材の食感が生きている」と小林宏さん。酢と油に塩コショウで味付けたヴィネグレットソースで酸味とつやを足す。「ソースとの相性もいい」(山本謙治さん)
(1)110グラム(2)1944円(3)http://gates.shop13.makeshop.jp/
手間惜しまず作り上げる プティ・アクイーユ (盛岡市)

岩手県産の豚肉と鶏レバーに塩と香辛料を加え、一晩漬け込んだ後に焼き上げ、さらに2日間熟成させる。スジや血管を取り除くなど、時間と手間を惜しまない。「やさしく、きれいなテリーヌ。ニューワールドやムルソーなどの白ワインと楽しみたい」(林真嗣さん)味で、リピーターも多い。
(1)100グラム(2)850円(3)http://petitaccueil.com/
生ハムを詰めたような柔らかさ 阿蘇ナチュラル・ジェイファーム (熊本県阿蘇村)

生ハムを腸詰めにしたような柔らかい食感が特徴のサラミ。「ハイボールやワインにも合うので、ホームパーティーの手土産に喜ばれそう」(斉藤さん)。乾燥は肉の直下で炭火を使い、薫煙には天然の山桜チップを使っている。「スモーキーな味わいがクセになる」(祐成さん)。
(1)100グラム(2)972円(3)http://www.aso-njf.jp/
ジビエ独特の香ばしさ楽しめる おゝみや (兵庫県篠山市)

イノシシならではの、うまみと歯応えある脂身が堪能できる。国産天然イノシシを使い、独特の香ばしさは味わい深い。大見春樹社長は「料理の前菜としてうすくスライスして食べる」ことをすすめる。ジビエのおいしさを存分に楽しめる一品で「ドイツの淡い赤ワインにぴったり」(小沢さん)。
(1)250グラム(2)2000円(3)https://www.oomiya.com/
黒コショウで深み 程よい脂 トロアードデリカッセン (神戸市)

表面にまぶした黒コショウが特徴的。「コショウがハムに深みを与えている。オードブルとして出したい」(野田さん)。しっとりとした食感だが、程よく脂身も付いている。そのため、ジューシーさも失われておらず、「ロースハムの本格版。作り手の頑張りがしのばれる」(吉村さん)仕上がりだ。
(1)100グラム(2)820円(3)http://tor-road-delica.com/
骨付きで熟成、加工 臭みなし フレンチデリカッセンカミヤ (東京都目黒区)

鹿肉は骨付きのまま熟成し、雑味を取り除いてから加工している。トルコ産白イチジクを使用。「イチジクの甘みがいい」(山本謙治さん)。おかげでジビエ特有の臭みはなく、初めての人も食べやすい。同店の神谷いずみさんは「ハードパンや小麦の風味が豊かなバゲットと合わせてみて」と話す。
(1)100グラム(2)1080円(3)http://www.fdkamiya.com/
試行錯誤かさね こだわりのうまみ ターブルオギノ (東京都品川区)

風味や舌触りにこだわった。試行錯誤の末、豚と鶏レバーで作るうまみたっぷりな一品に。材料は全てミンチ状にしてから加熱しているので柔らかい。「香辛料も程よく、本格的なパテ。赤ワインと一緒に楽しみたい」(伊藤さん)。焼いたり、パン粉をつけて揚げたりしてもおいしい。
(1)500グラム(2)3001円(3)http://table-ogino.net/
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。商品名、社名またはブランド名(所在地)。(1)内容量(2)税込み価格(送料別)(3)店の情報など。写真は瀬口蔵弘撮影。スタイリング・西崎弥沙
調査の方法 専門家への取材で取り寄せ可能なハムやパテ、テリーヌなど24品を選出。クリスマスに食べたい「見た目」や「味」、「取り寄せ価値」などの基準で1~10位まで順位をつけてもらい、編集部で集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
▽石塚奈帆美(エモントレーディングカンパニー代表取締役)▽伊藤文彰(ルヴェソンヴェール東京代表取締役)▽小沢誠一(東京ドイツワイン協会会長)▽小林宏(フランス料理文化センター所長)▽斉藤賢太郎(dancyu副編集長)▽祐成二葉(フードコーディネーター)▽民輪めぐみ(「料理王国」編集長)▽野田浩資(ツム・アインホルンシェフ)▽林真嗣(三越伊勢丹新宿店バイヤー)▽山本圭一(銀座ワイナックス)▽山本謙治(農畜産物流通コンサルタント)▽吉村葉子(エッセイスト)
[NIKKEIプラス1 2017年11月25日付]
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