仮想通貨、信頼回復に奔走 ビットフライヤー・加納氏
NEXTユニコーンの騎手たち(3)

2017/11/27 7:00
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「いま起業しなければ世界が変わってしまう」。仮想通貨運営所のビットフライヤー、加納裕三社長の転機は証券トレーダーだった2013年。当時、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が仮想通貨を容認する発言を機にビットコイン相場が急上昇。起業の種を探していた加納氏は「これだ」と確信した。

■フィンテックで起業模索

ビットフライヤーの加納裕三社長

ビットフライヤーの加納裕三社長

小学生の頃から「相対性理論が愛読書」というほどの物理好き。しかし機械工学を専攻した大学院修了後、大手自動車メーカーの内定を蹴って、エンジニアとしてゴールドマン・サックス証券に入社した。「世界中からすごい人が集まっている」という先輩のひと言がきっかけだった。

独立志向が強く、フィンテックでの起業を念頭に「10年くらいテーマを探し続けた」。その後、トレーダーとして働くなか、出会ったのが仮想通貨の世界。決めたら速い。国内外のトップクラスのエンジニアを集めてシステムを全て自社開発し、14年1月に起業した。

その翌月、夢描いていた世界が暗転する。当時世界最大級だった日本のビットコイン取引所のマウントゴックスがサイバー攻撃を受け、保有する多額のビットコインが消失。仮想通貨の信頼も一気に失墜した。

■国内シェア8割、海外へ

「2度と同じ事件を起こしてはいけない」。仮想通貨の信頼回復に向け業界団体を立ち上げ、技術の強みを説いて回った。当時は「投資家からも面と向かって詐欺師と言われた」と振り返る。今年4月、改正資金決済法(仮想通貨法)が施行され、景色は一変した。

ビットフライヤーの利用者は80万人超(9月時点)と昨年末から倍増。月間取引量は1兆5000億円を超え、国内でシェア8割を誇る。

加納氏は国内だけでは満足しない。11月に米国に進出。年内には欧州を目指す。仮想通貨の旗手は「海外でも技術の優位性をアピールしていく」と力を込める。

(企業報道部 駿河翼)

「NEXTユニコーンの騎手たち」ラインアップ
#01 宇宙追い続け新発想 インフォステラ・倉原氏(11.22 公開)
#02 ホリエモンの口癖が経営哲学 ウフル・園田氏(11.24 公開)
#03 仮想通貨、信頼回復へ奔走 ビットフライヤー・加納氏(11.27 公開)
#04 80歳元バンカーの電池革命 エリーパワー・吉田氏(11.28 公開)
#05 メディアと共存共栄 グライダーアソシエイツ・杉本氏(11.29 公開)

[日経産業新聞 2017年11月22日付]

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