2018年4月24日(火)

アリババ、店舗と融合に的 スーパーに3200億円出資

2017/11/22 7:09
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 中国のネット通販最大手、アリババ集団(浙江省)が実店舗に照準を合わせた買収攻勢に出ている。20日、大型スーパー運営の高鑫零售(サンアート・リテール)に3200億円を出資すると発表。アリババは生鮮食品などの分野でネットと実店舗の「融合」を進める。ネットとリアルの「新旧対決」は前者に軍配が上がった中国。今後は2者の融合の成否が消費市場における覇権の行方を占う。

 「サンアートは中国市場で20年以上のスーパー運営経験を持つ。食品に強く、既存出資先との相互補完効果も見込める」。アリババの張勇・最高経営責任者(CEO)は20日午後、香港で記者会見した。東南アジアなど海外でも共同で事業展開する意向を示すなど、出資への期待の高さを隠さなかった。

オーシャンの提携記者会見に出席するアリババ集団の張勇CEO(左)(20日、香港)

オーシャンの提携記者会見に出席するアリババ集団の張勇CEO(左)(20日、香港)

 アリババは約224億香港ドル(約3200億円)を投じ、台湾の複合企業、潤泰集団などからサンアートの株式36.16%を取得する。現在の主要株主である仏小売り大手、オーシャンは依然として36.18%を保有する筆頭株主に残る一方、潤泰の保有比率は5%弱に下がる。

 ネット通販と実店舗の「新旧対決」を巡っては、米アマゾン・ドット・コムが今夏、米食品スーパーのホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1兆5千億円)で買収。玩具販売大手のトイザラスが経営破綻するなど、米国ではネットがリアルを淘汰する構図が鮮明になっている。中国も事情は同じだ。

 20日、上海市郊外の大型スーパー「大潤発」を訪れると、夕方の買い物時にもかかわらず人影はまばらだった。大潤発はサンアートが中国で展開する約450の大型店舗の一つ。生鮮食品から日用品、雑貨などを大量に仕入れ安く販売するモデルで急伸。小売店の売上高上位の常連だったが、今ではネット通販に押され気味だ。

 中国では2012年に1.3兆元(約22兆円)だったネット通販の市場規模が16年には5.3兆元に拡大。値段の安さに加え商品を家やオフィスまで届けてくれる利便性の高さを背景に、若者を中心とする消費のネットシフトが進んだ。ネット通販の約6割は、元は実店舗の売り上げだったとされる。

 アリババはネット通販の領域拡大を狙い、実店舗への買収攻勢を強めてきた。15年夏には約4700億円を投じ家電量販大手の蘇寧雲商の株式の20%を取得。17年1月には計3千億円で百貨店大手の銀泰商業の株式を追加取得した。過去2年強で、アリババが実店舗買収に投じた資金は優に1兆円を超えた。

 買収攻勢の先に見据えるのは、ネットと実店舗が双方の強みを補完し合う新たな形態だ。

 「ネットとリアルの融合の理想型だ」。アリババの張CEOは7月、上海の生鮮食品店「盒馬(フーマー)鮮生」を訪れた。盒馬は全国20カ所に実店舗を持つ一方、販売の主力はスマホによるネット通販。店舗を物流拠点に見立て、鮮魚や野菜を注文から30分以内に宅配する。

 店舗はネット通販の物流倉庫の役割を果たすと同時に、ネットで出回る粗悪品への警戒が強い中国の消費者を安心させるための「ショーウインドー」も兼ねる。店舗1平方メートル当たりの販売額は一般的なスーパーより数倍多いという。利便性というネットの強みと、手にとって商品を確かめられる実店舗の強みを融合した形だ。

 アリババは今後、今回出資したサンアートの店舗でも同様の相乗効果を探るとみられる。ネット通販と実店舗の物流網を統合したり、店舗を商品の引き渡し場所に活用したりすれば、双方でコスト削減やサービス向上が見込める。

 ただ、ある中国の百貨店大手幹部は「『融合』とは名ばかりで、アリババの勢力拡大にほかならない」と警戒する。「新旧融合」が成果を上げなければ、実店舗が雇用の吸収力を失い失業増や消費の減速を招くリスクもある。

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