東レグループ、カーリットと電池分析で提携
EV向け、グループで「呉越同舟」

2017/11/20 18:34
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東レリサーチセンター(TRC)と化薬大手の日本カーリット(JCC)は20日、リチウムイオン電池の受託試験・解析事業で提携すると発表した。提携は車載用の全固体電池も対象。全固体は親会社の東レが強いセパレーター(絶縁材)が不要になる。提携は東レグループで「呉越同舟」の格好になるが、覚悟のうえだ。

会見するTRCの川村社長(左)とJCCの金子社長

「自動車メーカーが最大のターゲット。電池劣化の原因や急速充放電への対応などでカーリットと協業していく」。20日、都内で会見したTRCの川村邦昭社長は電気自動車(EV)の開発などを進める自動車・電池メーカーからの受注を目指す方針を力説した。

爆薬大手のJCCは電池の発火などの危険性を評価する試験事業でも一日の長を持つ。赤城工場(群馬県渋川市)にある複合試験施設は国内最大級。充放電を繰り返したり、圧力や振動を受けた電池にどんな現象が起きるか、試験する設備・知見を取りそろえる。

TRCは電池の劣化メカニズムや電池を構成する電極や電解質など部材のデータ分析はお手の物。「これまで危険性の評価設備がなく、顧客からの受注機会を逃していた」(川村社長)が、カーリットと組むことで「ワンストップで電池メーカーからの試験を受託できるようになる」(JCCの金子洋文社長)。

例えば電池が燃えた時に発生するガスの分析や、劣化した電極に急速充電した時にどんな状態になるのかといった材料解析も一体でできるようになる。EV開発を進める自動車大手にとってリチウムイオン電池は競争を勝ち抜く要。「協業はEVの開発加速につながる」(JCC)。

「東レと我々は別会社の位置づけ。全固体電池の受託も拡大していく」。会見でTRCの橋本秀樹常務取締役は強調した。全固体式は現行の液体電解質のリチウムイオン電池の次に登場するとみられ、液体に比べ容量が大きく長寿命が特徴だ。

全固体ではセパレーターは不要になる。電解液に入って正極と負極を隔てるセパレーターの世界大手である東レには全固体は脅威だ。

全固体について東レは「量産化はかなり先」とみているが、トヨタ自動車が10月に「2020年代前半の実用化を目指す」と宣言。他の電池メーカーや欧州の自動車大手も開発を急いでいる。

このため性能や安全性など受託試験の需要は増えており、TRCは親会社には遠慮せずにJCCと市場を開拓する考え。東レグループで呉越同舟になるが、東レの日覚昭広社長は懐が深い。互いに技術を磨きながら市場全体を広げる腹づもりかもしれない。

リチウムイオン電池の受託試験をワンストップでできるのは、日本ではJFEホールディングス系や神戸製鋼所系など3社に限られる。EV向け2次電池の世界の市場規模は2025年に3兆9300億円と、17年見通しの約5倍に膨らむと予測されている。EV用電池というフロンティアを前にカーリットと組んだ東レが、競合にどんな戦いを見せるのか注目だ。(上阪欣史)

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