2017年12月16日(土)

「ビジネス裁判所」誕生へ 審理、より速く

法務・ガバナンス
社会
2017/11/20 20:00
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 企業の海外進出により国際的で複雑な法的争いが増えるなか、ビジネス関係の訴訟を専門的に扱う裁判所「ビジネス・コート」が2021年にも東京・中目黒に誕生する。現在の霞が関の庁舎から、企業関係の訴訟や手続きを扱う知的財産高裁や東京地裁の関係部門がまとめて移転。テレビ会議システムを整備し、課題である迅速な審理の実現を目指す。

 「今後、難しい訴訟が増えるのは明らか。円滑なビジネスを支える裁判所が求められる」。ベテラン裁判官はこう指摘する。17年1~9月に全国の地裁に起こされた知財関連の訴訟は500件を突破し、すでに16年の1年間の件数を上回った。科学技術の専門知識が必要な審理が多くなるほか、当事者が海外の企業であるなど国際取引に絡んだ複雑な訴訟も一段と増えるとみられる。

 しかし、産業界では「日本の裁判所は使いにくい」とのイメージが根強い。大きな要因の一つが審理や手続きのIT(情報技術)化の遅れ。このため、最高裁が打ち出したのがビジネス・コート計画だ。

 中目黒駅近くの関東信越厚生局の庁舎跡地に、地上5階・地下1階の「東京高地裁中目黒分室(仮称)」を建設。知的財産高裁のほか東京地裁の「知財部」、会社更生や株主代表訴訟などを扱う「商事部」、民事再生や破産手続きを担当する「破産再生部」がまとめて移転する。

 新庁舎には最新の映像音響機器を設置。テレビ会議システムで遠隔地の裁判所などと結び、代理人弁護士らが上京しなくても打ち合わせをできるようにすることで、争点整理や審理のスピードアップを図る。

 移転を迫られた背景には、現在の庁舎が手狭になっているという事情もある。近年は離婚をめぐるトラブルや遺産相続関連の手続きが増え、家庭裁判所が扱う案件が急増。家裁と同じ庁舎にある商事部などの移転で空いたスペースを使うことで、執務室や調停室の不足を補える。

 新庁舎の着工は19年ごろ、完成は21年ごろを予定。東京地裁は移転に備え、関連部門を横断的に調整する「地裁所長代行職」というポストを新設した。新庁舎の使い勝手を良くするため、公認会計士など外部の専門家との連携強化や審理を迅速化する手立ての検討を進める。

 知財関連の訴訟を多く手掛ける松本賢人弁護士は「テレビ会議を活用できればもっと審理が円滑になると感じる。単に新しい建物に移るなら霞が関から離れて不便になるだけなので、当事者が利用しやすく機能的な裁判所になってほしい」と話している。

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