2017年12月16日(土)

マイクロソフト、電脳メガネの野望、MRで攻勢

ネット・IT
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2017/11/19 6:30
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 米マイクロソフト(MS)が現実世界と仮想世界を融合させた「複合現実(Mixed Reality=MR)」と呼ばれる新技術で攻勢をかけている。新車開発など多くの産業の現場を変貌させる可能性があり日本で先駆的な導入例が相次ぐ。同社にとってMRはさらなる成長の起爆剤になるのか。

 「マイクロソフト全体を見渡してもMRでは日本が進んでいる」――。ロックミュージシャンのような長髪と無精ひげがトレードマークで、MR戦略を主導するアレックス・キップマン氏はこう語る。

 キップマン氏はゲーム機「Xbox」を大ヒットさせた専用コントローラー「キネクト」を開発したエース技術者だ。10年前にMRを構想し当時会長だったビル・ゲイツ氏に直談判して開発を任された。自ら手掛けた専用のサングラス型端末「ホロレンズ」を2016年から発売。MR普及に向け世界を飛び回る。

 キップマン氏が「同志」と呼ぶのが小柳建設(新潟県三条市)の小柳卓蔵社長。売上高が約100億円、従業員数は約350人という中堅だが、世界の建設業界を驚かすMR技術を使うからだ。

 本店のいす1つない会議室では2人の技術者が装着したホロレンズで橋梁の完成後の3次元(3D)映像を様々な角度から見られる。画面に浮かぶ工程表を手でクリックすると、着工後の橋梁の姿を時系列で次々に見られるから便利だ。

 10月から画面に加わったのが青白い姿のアバターだ。アバターは遠隔地にいるホロレンズの装着者で、他の事業所の技術者や発注元の自治体職員など何人も参加できる。アバターが「実物大で見ましょうか」と話すと、参加者の画面は橋の上に切り替わり実際に歩いて橋の幅などが体感できる。「手すりをもっと高く」「舗装には小型重機の方が使いやすい」意見を交わし設計変更などができる。

 小柳社長がMRを採用したのは「仕事の生産性を大幅に高めて社員の負担を軽減できる」からだ。多くの社員は重い資料を持ち各地の自治体を走り回ったが、MRで働き方が一変する。日本マイクロソフトと設計データを3D映像としてホロレンズで見られるシステムを開発した。「MR技術で建設業のイメージをよくしたい」(小柳社長)という。

 小柳建設と似たマイクロソフトのMR技術を採用するのが米フォード・モーターだ。自動車の開発現場では新型車のモックアップのフロント部分に、青色にした3D映像を重ねて表示する。ホロレンズを装着した技術者は簡単な操作で3D映像のヘッドランプを大きくしたり、ボンネットの形を変えたり様々なことができる。技術的には背景を変えてデザインが街並みに映えるかということも確認できる。

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