尾高・大フィル 古典派重視 次期監督、定期演奏会に(もっと関西)
カルチャー

2017/11/17 17:00
保存
共有
印刷
その他

大阪フィルハーモニー交響楽団の11月定期演奏会に、次期音楽監督の尾高忠明がトップ指揮者就任後初めて登場する。演目は古典派の傑作であるモーツァルトの三大交響曲。尾高は来期以降も古典派の曲を積極的に取り上げる方針で、今回の定演は「尾高・大フィル」を占う機会となりそうだ。定演以降も楽団の新時代を象徴する公演が相次ぐ。

尾高は朝比奈の死去後、ブルックナーの封印を解いた(2004年1月の定期演奏会)

尾高は朝比奈の死去後、ブルックナーの封印を解いた(2004年1月の定期演奏会)

尾高は4月にミュージック・アドヴァイザーに就任。2018年度から音楽監督に就く。楽団の福山修演奏事業部長は「大フィルがステップアップしていくため、もう一度基本のアンサンブルを作りたい」と手腕に期待する。

03~11年に音楽監督の任にあたった大植英次(現・桂冠指揮者)や、14~16年に首席指揮者を務めた井上道義と比べると、派手なイメージは薄い。ただ、福山部長は「音楽的な安定感があってこそ、大フィルは自分たちの個性を発揮しやすい」と分析する。

■40年超える縁

今年創立70周年の大フィルと、同い年の70歳を迎えた尾高との関係は深い。尾高が初めて大フィルを指揮したのは1972年のこと。以来40年を超える付き合いで、共演は111回、うち定演は23回を数える。

信頼関係を物語るエピソードもある。47年の創立から半世紀を超えて楽団を率いた朝比奈隆(1908~2001年)の代名詞と言えるのがブルックナーの交響曲だ。死去後、他の指揮者が取り上げることは控えられていた。その封印を解き、04年1月の定演でブルックナーの交響曲第9番を指揮したのが尾高だった。

アドヴァイザー就任後からは奏者のオーディションにも立ち会っている。楽団員の投票で決する候補者の評価について「僕が『この人だ』と思った人と外れたことがない」(尾高)と、音楽性の一致に手応えを感じている。

「いま一度オーケストラの原点をしっかり構築したい」と語る尾高。来期以降のプログラムは、アンサンブルを重視した古典派の作品を軸に据える方針だという。深い間柄である札幌交響楽団でも81年の正指揮者就任後、ハイドンの交響曲を取り上げるようにしたことで「演奏の基礎能力が上がった」と振り返る。

モーツァルトの三大交響曲とされる第39番、40番、41番「ジュピター」は古典派の傑作。来期以降の大フィルを見通す意味で、11月22、23日のフェスティバルホール(大阪市北区)での定演は一里塚と言えそうだ。尾高も3曲一挙に指揮するのは初めてという。

音楽評論家の横原千史氏は「どれもオケの実力が問われる曲。モダンオケの指揮者が一気に振るのは挑戦的な試みだ」と指摘。「尾高はきっちり着実な音楽作りが信条。それを楽員にどう伝え、仕上げてくるかが聴きどころ」と語る。

それ以降も楽団の新たな時代を象徴するような演奏会が控えている。18年1月18、19日には、16年に楽団指揮者に就いた角田鋼亮も定演に初登場する。演目のメーンは、マーラーの交響曲第1番「巨人」。

指揮者就任後、学校での巡回演奏会などを指揮し、楽団員と信頼関係を築いてきた。大フィル指揮者は秋山和慶や外山雄三ら名だたる指揮者を輩出したポストでもある。しかし角田は「いまの自分のままで、一つ一つの演奏を大事にやっていく」と、"巨人"たちを意識しないよう心がける。

■大植は3月登場

楽団創立70周年を締めくくるのは大植だ。18年3月22日に開く特別コンサートの指揮台に上がる。同様に開館35周年の集大成となるザ・シンフォニーホール(同)との共催で、朝比奈をたたえる意味も込めたべートーベンの交響曲第3番「英雄」で始まる。もう1曲はリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」という重厚な演目だ。

アルプス交響曲は作曲者の登山体験が元になった雄大な曲で、朝比奈が楽団50周年や自身の還暦など節目の演奏会で選んだ曲でもある。大植は尾高率いる大フィルを「音作りに注力し、オケの原点に戻るだろう。それは新しくもあり、古き良き大フィルでもある」と見通す。70年という節目を越え、新たな時代に足を踏み入れる。

(大阪・文化担当 西原幹喜)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]