2018年4月23日(月)

米、42年ぶりのメディア規制緩和 業界活性化にはなお課題

2017/11/17 14:37
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 【ワシントン=鳳山太成】米政府は16日、同じ地域で新聞とテレビの兼業を容認する方針を決めた。言論の多様性を保つために禁じてきたが、報道の舞台がインターネットに移るなかで「時代に即していない」と判断。42年ぶりの規制緩和に踏み切った。地方の新聞社やテレビ局の合従連衡を促して経営体力を強化する狙いもあるが、報道の質の向上や業界の活性化につながるかは不透明な要素も残る。

 「ついにデジタル時代にあったルールに近づけられる」。米連邦通信委員会(FCC)のパイ委員長は16日、公開会合で興奮気味に語った。直後の多数決で同氏を含む委員5人のうち3人が賛成に回り、メディア規制の緩和を決めた。

 今回廃止するのは、メディア企業1社が同じ地域で新聞社と放送局(テレビ局とラジオ局)を両方持つことを禁じた1975年制定の規則だ。パイ氏は「現行の規制は仕事から帰って夕刊を読み、夜11時のニュースを見るといった世界を前提に作られたものだ」と指摘。42年来の規制を続けるのは「まったく無意味だ」と断じた。

 1つの地域でテレビ局のシェア上位4局のうち2局の合併を条件付きで認めることも決定した。経営状況の悪化に苦しむテレビ局同士の再編を促す目的だ。

 新聞社やテレビ局の合従連衡には経営健全化の効果のほか、テレビ局の映像を新聞の電子版で流すなど相乗効果も期待されている。調査報道が得意な会社と事件報道に強みを持つ会社が手を組むなど、相互補完によって質の高い報道を手掛けるメディアが生まれるとの見方もある。

 全米放送事業者協会は16日「現行規制は今の時代に合わないだけでなく、これまで報道に関わる者の雇用を犠牲にしたり新聞業界を弱体化させたりしてきた。(規制緩和は)調査報道や再投資を後押しする」と歓迎する声明を出した。

 ただ、規制緩和が遅すぎたため、今後も多くのメディアの淘汰は避けられないとの見方がある。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、米国の新聞の発行部数(平日)は紙とデジタル合わせて16年で約3500万部で、規制ができた75年(約6000万部)の6割の水準まで落ち込んだ。大人がニュースをよくみる媒体はネットが43%で、テレビ(50%)に肉薄する。

 一方、規制緩和には反対論も根強い。公開会合で反対票を投じたFCCのクライバーン委員は「大きなメディア企業がさらに大きくなるのを促すだけだ」と語った。合併でリストラが進み、地元に根ざしたニュースをあまり手掛けなくなることを懸念する声もある。

 FCCは長年、規制緩和を議論してきたが、民主党を中心に反対派が根強かった。17年1月に発足したトランプ政権が規制緩和派のパイ氏を委員長に指名。与党・共和党の委員が多数派を占めたことで今回緩和に動き出した。

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