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球場が呼んでいる(田尾安志)

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ラミレス監督に勝負師を見た 妙手が熱戦生む

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2017/11/19 6:30
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日本シリーズで敗れはしたものの、DeNAのアレックス・ラミレス監督がポストシーズンで見せた采配には驚かされることばかりだった。終盤の独走でパ・リーグを制したソフトバンクがセ・リーグ3位のDeNAを相手に4勝2敗と、ある意味順当な結果に終わった日本シリーズが印象深いものになったのも、ラミレス監督が次々に妙手を繰り出したためだろう。

投手起用を振り返ると…

広島とのファイナルステージでは今永を中継ぎで起用した=共同

広島とのファイナルステージでは今永を中継ぎで起用した=共同

まず驚いたのが、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第1戦の先発投手。レギュラーシーズンで2桁勝利を挙げた今永昇太(11勝)、浜口遥大(10勝)、ジョー・ウィーランド(10勝)のいずれでもなく、6勝10敗に終わった井納翔一だった。2016年に巨人とのCSファーストステージ初戦で7回2失点と好投、ファイナルステージ第3戦も広島を7回無失点に抑えたイメージがラミレス監督の頭にあったのだろう。井納は6回2失点で敗戦投手になったが、六回に福留孝介に2ランを浴びるまでは申し分のない投球だった。

広島とのファイナルステージでは、それまで先発の経験しかなかった今永と浜口を中継ぎで起用した。投手を惜しみなくつぎ込まないと試合を落とすかもしれない、という恐れが生んだスクランブル登板。今永はファーストステージ第2戦で先発した際、3回3失点で降板している。挽回のチャンスを中継ぎという形で与えられた結果は2回を被安打ゼロ、奪三振3、無失点。広島に必勝の覚悟を見せつけるとともに、今永を生き返らせる点でも絶妙な起用だった。

ファイナルステージ突破を決めた第5戦では先発の石田健大を、2点を失った一回のみで降板させた。シーズンを通して頑張った投手には長く投げてもらおうと考えるのが普通で、なかなかできないこと。だが、早く見切りを付けて後の投手が傷口をふさいだことで、負けゲームを勝ちゲームに変えることができた。何日もかけて準備してきた投手をわずか1イニングで代えるのは勇気が要るが、あの試合、さらにはステージ全体の流れを広島に渡さないためには必要な決断だった。

ファーストステージでの井納の先発は、レギュラーシーズンと違って予告先発制がなかったことでインパクトを伴った。これに味をしめたラミレス監督は日本シリーズでも一勝負打った。戦前の監督会議で、ソフトバンクの工藤公康監督と達川光男ヘッドコーチが手を替え品を替え予告先発制の採用を持ちかけてきたのに対し、頑として首を縦に振らなかった。ソフトバンクの先発陣が和田毅を除けば右投手ばかりなのに対し、DeNAは右が2人(井納、ウィーランド)に左が3人(今永、浜口、石田)。先発を隠すことで相手をかく乱できる、との思いが働いたのはいうまでもない。

「右か、左か」とソフトバンクが気をもんだ中、第1戦の先発に抜てきされたのは、またも井納だった。日本シリーズの初戦は、制球のいい投手を先発させて相手打者が得意とするコースを探り、集めたデータを第2戦以降に生かすというのがよくある手法。ただ、井納はコントロールがいい方ではなく、この点では適任とはいえない。それでもポストシーズンの実績を買って井納に任せた異能ぶりには恐れ入るばかりだ。

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