2019年6月27日(木)

ホンダ、突破口は社外から ソフトバンクと「つながるクルマ」

2017/11/16 23:00
保存
共有
印刷
その他

ホンダは16日、第5世代「5G」と呼ぶ次世代の高速通信技術を使うコネクテッドカー(つながる車)でソフトバンクと共同研究を始めると発表した。持ち味だった独創的なイメージが薄れるなか、社外の仲間づくりを急ぐホンダ。自動運転ではグーグル系と組み、シェアリングではグラブに出資した。次世代車の開発に不可欠な突破力を取り戻せるのか。

2018年度から北海道にあるホンダのテストコースにソフトバンクが5Gの基地局を設置。走行中の車が外部と適切にデータをやり取りできるかを検証する。高速移動しても基地局を安定的に切り替えられる車載アンテナの開発や、電波が弱い場所でもデータを送受信できる技術に生かす。

「モビリティーが今まで以上に身近なパートナーになる」。10月25日、東京モーターショーでホンダの八郷隆弘社長が紹介したコンセプトカーにもソフトバンクと共同開発中の技術が搭載されていた。人工知能(AI)でドライバーの感情やクセを読み運転を支援する仕組みで、今回は提携の第2弾となる。

「5G」の活用ではトヨタ自動車NTTドコモKDDIの2社と連携。海外でも独アウディや英ボーダフォンが団体を設立している。「5G」の商用化は20年の予定だが、すでに複数の陣営が構成され開発競争が激化しつつある。

八郷社長はかねて「お互いにウィンウィンなら積極的に協業していきたい」と語り、外部との提携戦略を推進してきた。東南アジアの配車アプリ最大手、シンガポールのグラブに出資し、自動運転では米グーグル系のウェイモと提携した。八郷社長はグラブとの提携について「所有を前提としない新しい売り方を学ぶため」と話す。外部依存を強めるのは自動運転、電動化といった車を取り巻く環境変化に単独で対応し続けることが難しいためだ。

かつてのホンダは独創性、先進性にあふれ、単独で市場を切り開いていった。カーナビの原型を作ったのもホンダだった。創業者の本田宗一郎氏が亡くなって四半世紀。時間とともに輝きを失っていった経緯はソニーとも重なるが、ソニーとの違いは、ホンダが輝きを失いつつも赤字のどん底までは経験していないことだ。ただ、ここで道を誤れば、かつてない危機に陥る可能性もある。

「ワイガヤ」に代表される自由闊達な企業風土はまだ残るものの、組織の成熟化は確実に進んでいる。17年3月末のホンダ社員の平均年齢は45歳とトヨタ(39歳)などと比べて高い。東京・青山の本社で働くある社員は「10年ほど前までは大いなる中小企業という感覚が残っていたが、今は感じない」と話す。

宗一郎氏は戦前、部品の不具合の対策を学ぶため、会社を経営しながら学校に通い直すほど外の知識に貪欲だった。外部からの刺激を組織に取り込み、かつての風土をつくり直す。それこそホンダが車の大転換期を生き抜けるかどうかの条件になる。(古川慶一)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報