2017年12月16日(土)

企業価値、22社が100億円以上 NEXTユニコーン調査

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2017/11/20 0:00
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写真左からメルカリの山田会長、エリーパワーの吉田社長、ラクスルの松本社長

写真左からメルカリの山田会長、エリーパワーの吉田社長、ラクスルの松本社長

 未上場で成長を続けるスタートアップ企業の存在感が増している。日本経済新聞社が実施した「NEXTユニコーン調査」によると国内22社が企業価値(推計)で100億円を超えた。人工知能(AI)やネット関連が上位にきた。独自技術に着目する大手企業も有力スタートアップ企業の取り込みに動く。新興企業の台頭は産業構造の変化に対応し、日本経済を活性化する役割を果たしている。

企業価値ランキング(1~28位)
推計企業価値
(億円)
直近の増資時期
プリファード・ネットワークス
(深層学習の産業応用)
23262017年
8月
メルカリ
(フリマアプリ運営)
147916年
3月
Sansan
(クラウド型名刺管理)
50517年
7月
エリーパワー
(リチウムイオン電池)
40412年
5月
フリー
(中小企業クラウド会計)
39416年
12月
ビズリーチ
(転職サイト運営)
33816年
6月
TBM
(石灰石で新素材開発)
29217年
11月
FiNC
(健康サービス)
22517年
8月
ラクスル
(ネット印刷、物流)
21916年
8月
ボナック
(核酸医薬品開発)
21717年
9月
ビットフライヤー
(仮想通貨取引所の運営)
21317年
2月
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
(全自動衣類折り畳み機)
17417年
5月
ソラコム
(IoT通信サービス)
17316年
6月
C Channel
(女性向け動画配信)
16316年
12月
GLM
(電気自動車の開発)
15116年
8月
グライダーアソシエイツ
(キュレーションサイト)
14915年
7月
お金のデザイン
(スマホで投資運用)
13217年
10月
フロムスクラッチ
(データ管理サービス)
12717年
5月
ペジーコンピューティング
(省エネスパコンの開発)
12015年
7月
Liquid
(生体認証エンジン開発)
10517年
3月
スターフェスティバル
(フードデリバリー)
10117年
7月
デリー
(レシピ動画サービス)
10017年
4月
マイクロ波化学
(化学化合物の効率量産)
9817年
9月
リノべる
(リノベーション)
9017年
7月
ランサーズ
(クラウドソーシング)
8414年
12月
JTOWER
(通信設備シェアリング)
7416年
5月
ワンタップバイ
(証券業)
7117年
2月
ウェルスナビ
(資産運用サービス)
6616年
10月

(注)登記簿情報などを基に直近の増資時における企業価値を日本経済新聞社が推計。ワンタップバイは15日発表の増資を反映せず

 調査は日本ベンチャーキャピタル協会の協力を得て実施した。創業おおむね20年以内で特徴的な技術や事業モデルを持つ108社から回答を得た。各社やベンチャーキャピタルへの取材を基に企業価値を推計した。

 企業価値10億ドル(約1120億円)以上の未上場企業が「ユニコーン」とされ、その予備軍の有力スタートアップを含めて「NEXTユニコーン」とした。

 企業価値首位のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)はAIの一種である深層学習で制御技術を開発する。西川徹社長は「深層学習を導入することで製造業に変革の波を起こしたい」と期待を寄せる。8月にはトヨタ自動車が約105億円を出資した。両社は認証や車の情報を解析する技術で提携する。

 2位のメルカリ(東京・港)はスマートフォン(スマホ)で操作しやすいフリマアプリの開発で急成長。フェイスブックの元副社長を迎え入れ海外事業を強化している。

 NEXTユニコーンの上位企業にはAIを積極活用する企業が目立つ。5位のフリー(東京・品川)はクラウド会計処理をAIで効率化する。

 クラウド型名刺管理のSansan(東京・渋谷)は積極的なシステム投資や広告宣伝で顧客層の拡大に乗り出した。Sansanは投資が先行するが、売上高の伸びを評価し、11月に入り米ゴールドマン・サックスが出資を決めた。当面の利益よりも長期の成長を重視する米ネットビジネス流の事業モデルが評価され、投資資金を引き寄せている。

 調査会社ジャパンベンチャーリサーチ(東京・渋谷)が未上場のスタートアップ約千社を対象に集計した2016年の資金調達額は前年比2割増の約2100億円と過去最高を記録した。

 スタートアップの出口戦略も多様化し始めている。

 今回の調査では対象企業の83%が上場を考えていると答えた。新卒採用や大手企業から優秀な人材をスカウトしやすくなるためだが、約2割のスタートアップがM&A(合併・買収)で大企業の傘下に入る道も考えると回答した。

 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連サービスのソラコム(東京・世田谷)はKDDIに買収される道を選んだ。「次世代規格への参加やグローバル展開には大手との関係を深めることは不可欠」と玉川憲社長はその狙いを語る。

 米国ではグーグルやテスラなどの新興企業が登場。ベンチャーキャピタルや個人投資家(エンジェル)がマネーの面から成長を支える循環が確立しており、ユニコーン企業が続々生まれる土壌となっている。

 日本はスタートアップに投資する資金の規模が米国の2~3%。起業への理解が広がらず、大企業から流入する人材も少なくユニコーンが生まれにくいとされてきた。だが、産業構造の大転換期を迎え、トヨタのような大企業も独創的な次世代技術を求めてスタートアップとの協業や出資に乗り出している。日本でもスタートアップを軸とした産業転換が進む兆しが出ている。

調査の方法 日本ベンチャーキャピタル協会とベンチャーキャピタル(VC)各社の協力を得て、将来の成長が期待される企業価値30億円以上のスタートアップ企業を抽出。本紙記者の取材企業と合わせて約150社のスタートアップに9~10月にアンケート調査を実施。11月初旬までに108社から回答を得た。
 推定企業価値は登記簿などの公開情報をベースに各社やVCへの取材も踏まえて日本経済新聞社が推計した。直近の第三者割当増資における株式の発行価格にストックオプション(新株予約権)などの潜在株式を含めた発行株式の総数を掛けて算出している。その後の業績や市場環境の変化による企業価値の変動は考慮していない。
 M&A(合併・買収)で大企業の子会社になっても独立した企業として存在している場合は調査対象に含めた。
協力VC一覧 アーキタイプベンチャーズ、アドウェイズ、イーストベンチャーズ、ウエルインベストメント、環境エネルギー投資、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、コロプラネクスト、産業革新機構、ジャフコ、スパークス・アセット・マネジメント、大和企業投資、東京大学エッジキャピタル、ドーガン・ベータ、ドレイパーネクサスベンチャーズ、フェムトパートナーズ、パーソルイノベーションファンド、ビヨンドネクストベンチャーズ、プライマルキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズ、富士通、みずほキャピタル、モバイル・インターネットキャピタル、新生企業投資、ABCドリームベンチャーズ、Bダッシュベンチャーズ、DBJキャピタル、DCMベンチャーズ、TELベンチャーキャピタル、TNPオンザロード、QBキャピタル、500スタートアップス

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