2017年11月20日(月)

関西みらい、首都圏勢追う
3地銀統合で発足

金融機関
関西
2017/11/15 2:00
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 来年4月に本格始動する関西みらいフィナンシャルグループ(FG)の傘下に入る3行が14日までに2017年4~9月期決算を発表した。合算ベースの収益をみると「稼ぐ力」は関西では群を抜くが首都圏を地盤とする地銀の背中はまだ遠い。強みである顧客への提案力を活用して貸し出しを増やすとともに、統合効果で課題の高コスト体質を改める必要がある。

■稼ぐ力…関西では圧倒的

 関西みらいFGの傘下は近畿大阪銀行、関西アーバン銀行みなと銀行。本業の貸し出しなどによる稼ぐ力を反映した資金利益をみると、3行合算で前年同期比4%増の632億円だった。関西地銀では現在首位の京都銀行(353億円)を大きく上回り、関西では圧倒的だ。

 ただ、全国の主要地銀との比較では課題が残る。ほくほくフィナンシャルグループ(北陸銀行と北海道銀行の合算)は上回るが、コンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀行と東日本銀行の合算)やめぶきフィナンシャルグループ(常陽銀行と足利銀行の合算)には届かない。

 関西は首都圏よりもメガバンクや信金との競争が激しい。3行がばらばらのままでは巨大信金などが囲い込む優良顧客を取り切れていなかった。関西アーバン銀が強い不動産や近畿大阪銀の中小製造業向け融資などで相乗効果を発揮し、営業力を強化できるかが問われる。

▼資金利益 貸し出しを中心に運用で得た収益から、預金利息などの資金調達費用を差し引いた金額。有価証券運用で得た利息配当金も反映する。本業の貸し出しを主力とした稼ぐ力を示す。

■提案力…事業承継に強み

 貸し出しの伸びが見込みづらいなか、銀行が注力しているのが手数料サービスだ。顧客への提案力がモノをいうサービス手数料を反映する役務取引等利益をみると、関西みらいFGは13%増の97億円に拡大し、関西の他の地銀では群を抜く。「投資信託販売が半期として最高の330億円を記録して関連手数料収入が伸びた」(みなと銀行の織田研二郎常務執行役員)ことなどを反映した。

 今後、特に力を入れるのが信託機能を活用した事業承継サービスだ。旧大和銀行の信託機能を引き継いだりそなグループでは近畿大阪銀がフル活用。資産・自社株を承継する信託の利用件数は217件と約3倍に拡大した。

 関西アーバン銀の松村昭夫取締役は「りそなグループの信託機能は法人サービスなどで非常に相乗効果が期待できる」と話す。貸し出しを伸ばすためにも提案力を活用した取引先開拓が必要だ。

▼役務取引等利益 銀行が提供するサービスで得る手数料などから関連費用を差し引いた金額。投資信託販売や信託サービスなどが伸びる傾向にあり、顧客への提案力を反映しやすい。

■コスト管理…高い経費率 74.5%

 最も大きな課題がコスト競争力だ。人件費などの経費を資金利益や役務取引等利益などで構成する業務粗利益で割った経費率は京都銀の70.7%より高い74.5%。関西の中でも後れを取っている。コンコルディアFGや千葉銀が50%台であるのに対し、高コスト体質であることは明らかだ。

 関西みらいFGは14日に発足。来春の本格稼働後に順次、経費抑制策も進める。来年4月からは近畿大阪銀と関西アーバン銀の合併作業を進め、その1年後には「関西みらい銀行」が発足する。重複する店舗の統廃合にどこまで踏み込めるかも注目されており、その半年後には同行のシステムを統合する。

 5年で130億円の経費削減効果を見込んでいる。「過去の金融再編に例がないスピード感」(近畿大阪銀の中前公志社長)でコスト構造に大胆なメスを入れられるかが、厳しさを増す環境下での生き残りを左右する。(中西誠)

▼経費率 人件費など営業活動に必要な経費が、資金利益や役務取引等利益などを合算した業務粗利益に占める割合。業務粗利益は一般企業の売上高に相当し、経費率が値が小さいほど一般的に効率な経営ができているとされる。

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