2017年11月22日(水)

もう漫画はあきらめない 伝える力、大企業も顧客
フーモア・芝辻幹也社長

コラム(ビジネス)
スタートアップ
ネット・IT
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2017/11/15 6:30
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 イラスト・漫画制作のフーモア(東京・中央)が業容を拡大している。企業の研修や販促パンフレットに漫画を取り入れ、情報をわかりやすく伝える事業が好調だ。芝辻幹也社長(34)はもともと漫画家志望。自分が描いた漫画で食べていくのは諦めたものの、漫画への熱意を起業の形で開花させた。

■漫画家の夢破れ就職

フーモアの芝辻幹也社長

フーモアの芝辻幹也社長

 「文章だけで伝えられる情報は限られている。漫画の中に真実を盛り込むことで人の心を動かせるのではないか」

 芝辻氏が目指すのはイラスト制作の主戦場であるゲームやコンテンツ配信サイトにとどまらず、あらゆる業種の企業・団体との取引だ。2016年から大企業や自治体からの受注が増えている。しかし起業までの道のりは平たんではなかった。

 小学生の頃から漫画や星新一の小説を読むのが大好きだった芝辻氏。漫画を描き始めたのは小学校2年生の時。「ドラゴンボール」の孫悟空の絵を描き、隣の席の子に渡したのが始まりだ。

 中高時代も描き続け、大学・大学院の時は漫画を出版社に何度も持ち込んだ。26歳まで続けたが芽が出ずに断念。09年に外資系コンサルティング会社に就職した。

 10年にルームシェアしていた仲間と3人でクーポン共同購入の会社を起業する。しかし事業はうまくいかず11年に損切りする形で事業売却し、ベンチャー企業へ就職。「人生これからどうしていこうか」と悩んでいた。

 きっかけは知人の結婚式だった。披露宴で席次表代わりにタブレット画面に表示する参加者の似顔絵を描いてほしいと頼まれた。芝辻氏が描いた80人の似顔絵を見て「似てるね」「似てないね」と楽しむ参加者たち。「やはり絵に関わる事業をやりたい」。漫画ビジネスの起業を思い立った。

 3カ月後の11年11月、友人2人と漫画・イラスト制作の「フーモア」を設立。貯金はわずか20万円だった。家賃3万円の部屋に男4人で住み、通勤電車代が惜しくて中野から新橋まで自転車を走らせる毎日。漫画制作だけでは収入が小さく、ウェブマーケティングなど漫画と関係ない事業で食いつないだ。

 精神的に一番きつかったのは12年春。「別の事業がやりたい」と一緒に起業した友人2人が去り、独りぼっちになった。

 しかしそこから思い切って本業の漫画にかじを振り切る。ゲーム向けのイラスト制作やコミカライズ(漫画化)。子供の頃からの夢に挑む最後のチャンスと割り切った。

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