2017年11月19日(日)

米国第一、共鳴乏しく トランプ氏がアジア歴訪終える
南シナ海問題より貿易

トランプ政権
トランプ歴訪
2017/11/14 23:00
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 トランプ米大統領は14日、初のアジア歴訪を終えて帰途についた。アジアへの関与を続け、影響力の確保をめざす方針を明確にしたが、安全保障と経済の両面でアジアの秩序形成を主導する具体的な戦略を欠いた。米国の利益を最優先する内向き姿勢を強める姿にアジア諸国・地域の共鳴は乏しかった。中国の存在感が増すなか、求心力の陰りが鮮明になっている。

東アジアサミットへの出席を取りやめ、帰国の途に就くトランプ米大統領(14日、マニラ)=共同

東アジアサミットへの出席を取りやめ、帰国の途に就くトランプ米大統領(14日、マニラ)=共同

 「我々は多くを達成した。私たちの働きの果実は安全保障であれ貿易であれ、素晴らしいものだ」。トランプ氏は14日、アジア歴訪をこう振り返った。帰国直前には「米国と貿易関係のある全ての国はルールが変わったことが分かるだろう」ともツイートした。

 鮮明になったのは、内向きの論理を優先する米国第一の姿勢だった。「主権を放棄するような大きな協定には取り組まない」。包括的なアジア戦略を語った10日の演説では、多国間の貿易ルールづくりに背を向け、米国の都合に沿う貿易を求める発言が目立った。「インド太平洋の国々と友好と経済の結びつきを強める」としてアジアへの関与を続けるとも表明したが、安保と経済を両輪にアジアの平和と発展を主導する具体的な戦略とはいえない内容だった。

 トランプ氏の視線は終始、米国内の支持層に向けられていた。13日の東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議。「昨年の大統領選以来、米国の経済は輝かしく前進している」と述べ、最高値圏にある株価や低い失業率などを自賛した。

 「北朝鮮や南シナ海の問題でASEANの声明に意見を述べるはずだったが、コメントはなかった。貿易の話ばかりだった」(フィリピンのロケ大統領報道官)。ASEANの懸念事項や安全保障に関心を示さなければ、この地域での求心力を高めようがない。

 足元に目を向けると、ロシア疑惑が政権を覆い、医療保険制度改革法(オバマケア)見直しといった目玉政策は議会との調整がいっこうに進まない。貿易問題の成果にこだわるトランプ氏の発言には、停滞する政権運営の焦りが透けて見えた。

 アジア域内で中国の影響力は増す。14日のASEANと日中韓の首脳会議では、南シナ海問題は議題にならなかった。議長国のフィリピンは中国に配慮し、議論で扱うことに慎重だった。「私が仲裁や仲介ができるなら知らせてほしい」。トランプ氏はベトナムの国家主席との会談で、南シナ海問題の当事者から仲裁役に立場を後退させるような発言さえした。

 トランプ氏はドゥテルテ大統領との会談で人権問題にも触れなかった。薬物対策で超法規的な取り締まりに取り組むドゥテルテ氏に、民主主義や人権の尊さを説いたオバマ前大統領とは異なる。西側先進国が共有する理念を語ることが求心力になり得たかつての超大国のリーダーの姿はない。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)のハムレ所長は「中国の南シナ海などでの振る舞いで、アジアはこれまでになく米国の力を必要とするようになっている」という。今回の歴訪が浮き彫りにしたのは逆行するような米大統領の姿だった。(マニラ=永沢毅)

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