2017年11月18日(土)

整備訓練にAR エアバス・JALの異色タッグで開発

自動車・機械
2017/11/14 14:36
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 欧州エアバスと日本航空(JAL)は14日、中型機「A350」のパイロットや整備士向けに開発した拡張現実(AR)技術を活用した訓練を報道公開した。両社によると、ARによる航空機の訓練・整備システムは世界初。人手不足が深刻化する中で、訓練のスピードアップや利便性の向上につなげたい考えだ。

ARを活用し、訓練の自由度を高めるのが狙い

JALが導入予定のエアバス機A350(イメージ)

 「次は地上との交信をチェックします」。画面上に表示される矢印を追って現れる人の目のマークを凝視すると、「キラリン」の電子音と共にチェックが完了。首を振り、手を動かしてコックピットに並ぶ計器類を次々にチェックしていく。

 米マイクロソフトの「ホロレンズ」を使い、両社が共同開発した。エアバスの調査によると、訓練生が記憶を定着していた確率は座学の5%に対して実践を伴えば75%に上がる。ただ実機での訓練となると機会は限られる。「これなら部屋に持って帰って訓練してもらうこともできる」とJALの海老名巌・整備本部部長は期待する。

 エアバスがJALから初受注したのは4年前。エアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長が「歴史的な受注だった」と振り返るほど、JALは難攻不落の存在だった。世界各国の航空会社と連携するエアバスが、こうしたシステム開発で同社製の航空機を1機も運航していない航空会社と組むのは異例と言える。

 JALが2019年から導入を始めるA350は座席数が280~360席程度。31機を導入する。旧日本エアシステム(JAS)との経営統合でエアバス機がJAL塗装をまとった時期があったものの、150席級以上では「米ボーイング一辺倒」を貫いてきたJALの決断は、日本では驚きと共に迎えられた。

 A350は東京―福岡や、東京―ニューヨークといった主力路線を飛ぶ「777」を置き換え、JALの「顔」となる。

 米ボーイングは重工大手など日本の産業界とも関係が深い。日米の貿易摩擦の「ガス抜き」につなげる政治ネタとしても、1機100億円超の商談が常の航空機は大きなウエートを占めてきた。

 あるエアバス幹部は当時の商談を「JALの全役員がボーイングを推す中で、稲盛さんだけが理解を示してくれた。一点突破だった」と明かす。経営破綻したJALの再生を任された稲盛和夫名誉会長は、改革路線を象徴するエアバス機の初導入を強く支持した。エアバスが新参者のJALを厚遇するのには理由がある。

 14日、都内のホテルで記者会見したエアバスの開発担当者は「他のすべての民間航空機に適用したい」と話した。JAL発の先端技術は将来の世界標準になる可能性もある。10年前には想像だにしなかった日欧のタッグが本格的に動き始めた。

(市原朋大)

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