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ネイマール得たパリSGと失ったバルセロナの充実

欧州チャンピオンズリーグ(CL)は1次リーグ全6節中の4節を終えた。パリ・サンジェルマン(フランス)、マンチェスター・シティー(イングランド)がすでに16強入りを決めるなど、強豪が力を示している。

大スター獲得でパリSGに活気

2億2200万ユーロ(約290億円)を投じてネイマールをバルセロナ(スペイン)から獲得し、注目されたパリSGはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を撃破するなど4連勝。莫大な金額を投じた強化は、本気で欧州王座を目指すというクラブの意志の表れだ。

これまでも一流選手を集めてきたが、誰もが知る世界的な大スターは取っていない。それだけに今回のインパクトは強く、選手たちは「よしっ」という気になっただろう。次代を担うFWエムバペ、SBダニエウアウベスも獲得し、チームが活気づいている。

攻撃は前線のネイマール、エムバペ、カバーニにお任せという感じで、ロナルド、ベンゼマ、ベイルを擁するレアル・マドリード(スペイン)に近い。連携うんぬんではなく、それぞれが1人で何とかしてしまう力がある。

ネイマールはバルセロナ時代より自己主張をしている印象だ。バルセロナにはメッシがいるので、どうしても2番手扱いだった。バルセロナのサッカーはメッシを中心につくられているので、窮屈な思いをしてきただろう。それと比べると、いまは勝手が許され、持ち場を離れて自由に動いている。

このネイマールとダニエウアウベスには欧州CLの優勝経験があり、いわば勝ち方を知っている選手だ。この補強はそういう点でも意味がある。昨季、バルセロナに大逆転を喫したように、欧州CLで涙をのんできたクラブが殻を破る可能性がある。

問題があるとしたら守備陣か。CBチアゴシウバが衰え始めているのは、ブラジル代表として戦った日本戦でも感じた。チアゴシウバとマルキーニョスのコンビでは欧州CLの準決勝、決勝に出てくる強烈な攻撃陣が相手だと耐えきれないかもしれない。気の早い話になるが、来季以降はここの補強が必要になってくる。

バルセロナ、戦術面ですっきり

バルセロナはネイマールを失ったにもかかわらず、3勝1分けと強さを維持している。バルベルデ新監督によって、戦術面が整理された。

選手のポジションをある程度、固定し、役割をはっきりさせている。こうなったら誰がこう動くという約束を明確にしているのだろう。それぞれが動きやすくなっているのではないか。やっていることはオーソドックスで、ごちゃごちゃしていない。バルセロナのDNAを生かしたスタイルに戻った感じがする。

MFパウリーニョを広州恒大(中国)から獲得したのも大きい。守備で力を発揮しては攻めに出て行く、いわゆる第2ボランチの役割を与えられ、本来の攻撃性が出てきた。それができるのはアンカーにブスケツがいるからで、センターラインに彼とCBピケがいるのはバルセロナの強みだ。

将来のことも考えると、心配なのはイニエスタの代えがいないという点かもしれない。全盛期の力はないものの、いまだにボールの動かし方、テンポを変えているのはイニエスタだ。ラキティッチの働きも大きいのだが、イニエスタほどのものは望みようがない。

SBに重点、マンCも充実

かつてバルセロナの黄金期を築いたグアルディオラ監督が就任して2年目のマンチェスターCの充実も目を引く。

B・ミュンヘン監督時代のラーム、ダビドアラバの使い方からわかることだが、この監督はSBを重視し、ここをキーにして独自の戦術を組んでいる。SBをボランチの脇に位置取りさせたり、中央に切り込ませたりして変化を付けて、サッカーを斬新なものにする。だから、フォーメーションがどうなっているのか、わかりにくいときがある。

今季、ウォーカー、メンディ、ダニーロとサイドの選手を3人も取ったことからも、グアルディオラ監督がSBをキーにしているのがわかる。ウォーカー、メンディ(故障離脱中)は攻撃面で力を発揮しているだけでなく、守備面でもアンカーのフェルナンジーニョを助けて、攻守の軸になっている。

本来はウイングだったデブルイネをインサイドに置き、ウォーカーと入れ替わるようにしてサイドに出ていかせる。最初から外に置くと、前が詰まって消えてしまうことの多い選手だったが、いまは周りとの連携の仕方を学び、プレーに幅が出てきた。

同じく中盤のダビドシルバはもともと器用な選手なので、後方のメンディ、デルフとの絡み方がうまい。両サイドともユニットで流動的に動くので、相手はどう守っていいのか困ってしまうだろう。

もう一つの驚きは加入2年目のFWガブリエル・ジェズスの急成長だ。どちらかと言えばサイドで速さを生かし、自分で何とかしてしまう選手だったが、いかに人に使われるかのコツを覚えつつある。動き出したところにパスを送ってくれる選手が周りにいるので、隙間の狙い方に磨きがかかっている。変な体勢からでも多彩なシュートを打つ力もある。それにしても、いい指導者に出会ったものだ。若いから成長の度合いが大きく、アグエロを完全にしのぐ日は近いのではないか。

戦い方知るマンU・モウリーニョ監督

ここまで挙げてきたバルセロナ、マンチェスターC、パリSGには優勝を狙う力が間違いなくある。そこに加えるとしたらR・マドリードとマンチェスターUだろう。

2連覇中のR・マドリードはロナルドの5試合出場停止、ベイルの故障が響き、国内リーグでは首位バルセロナに離されている。ジダン監督は欧州王座狙いに重点を置くかもしれない。

R・マドリードは1950年代の欧州チャンピオンズカップ創設期に5連覇を達成。その後、3連覇は70年代のアヤックス(オランダ)とB・ミュンヘンだけだ。R・マドリードが今季も頂点に立てば、それ以来の偉業となる。

レアルの武器は言うまでもなくロナルド、ベンゼマらによる高速のカウンター。先日、ブラジル代表が日本を相手に見せたものよりもさらに破壊的だ。モドリッチ、クロース、イスコ、アセンシオらそこに絡む攻めの脇役も多彩で、セルヒオラモス、バラン、カゼミーロらによる守備も安定している点が強みである。

大穴と言っていいのが、モウリーニョ監督が2年目のマンチェスターUだ。ルカク、ポグバ、マルシアルと、パワー系の選手がそろっていて、イブラヒモビッチが戦線に復帰したら、さらに爆発力が増す。がっちり守ってカウンターで仕留める。何より、モウリーニョ監督がカップ戦の戦い方に優れていること、しかも就任2年目にきっちり結果を出すということを忘れてはならない。

当たり前のことだが、欧州CLはチーム編成にはじまり、相手の分析、それをもとにした戦術の徹底、コンディショニングまでクラブの総合力が問われる。トップクラブは我々が考えているより、はるかに細かいところまで考え抜いて戦っている。だから見る者を引き込み、離さない。

(元J1仙台監督)

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