埼玉県杉戸町の就農者、空き店舗で野菜直売

2017/11/14 0:00
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埼玉県杉戸町で農業を始めた生産者らが連携し、商店街の空き店舗を活用した「直売所」で、朝収穫したばかりの野菜を売る活動を始めた。参加者はいずれも同町の就農者育成塾の出身で、農家が自ら店頭に立って作物を売り、客の要望も受け付ける。町は就農者の販路拡大を後押しするとともに、商店街のにぎわいづくりにも役立てたい考えだ。

各農家をPRし、農産物の食べ方なども説明しながら販売する(11日、埼玉県杉戸町)

直売所を開設したのは、杉戸町が農業の新たな担い手を育成する「明日の農業担い手育成杉戸塾」で学んだ30~40代の6人。直売所は東武鉄道東武動物公園駅に近い商店街で、以前は鮮魚店だった空き店舗を使う。キュウリ農家の栗田勉さん(42)が直売所を出したいと考えているのを知った知り合いの鮮魚店が、空き店舗の提供を申し出たという。

参加する生産者は、町が運営する道の駅「アグリパークゆめすぎと」に野菜を出荷する途中、空き店舗の直売所で売る商品を栗田さんに預ける。販売する野菜の種類や値段は各生産者が決める。当面は月2回程度のペースで営業し、2018年4月からは週1回に増やす考えだ。

営業を開始した11日には、当日の朝収穫したばかりのキュウリや長ネギ、カラシ菜などの野菜を売り場に並べ、生産者6人の顔と主な栽培作物や収穫風景などを写真などで紹介。栗田さんと、同塾で研修中の太田康之さん(42)が直売所の店頭に立った。

栗田さんは「お客さんとお互い顔が見える関係で食べ方などを説明できる。要望を聞き、売り方を考える参考になる」と話す。この日もカボチャが半分なら買いやすいと話す客に応え、すぐにカットして販売した。少量多品目の生産に取り組む篠宮雄治さん(41)も「自分たちらしいスタイルで販売できる。農家個人のブランド化につなげたい」と意気込む。

杉戸町は農業が盛んだが、農家のうち65歳以上の割合を示す高齢者率は1995年の20.9%から2015年に65.8%に上昇。農家の戸数は1201戸から634戸に半減した。

同町は10年度から、県が運営費の4分の3を補助する「明日の農業担い手育成塾」の制度を活用。2年間、新規就農希望者の研修用農場を町が借り上げ、先輩農家や農業委員が指導員となり、円滑に就農できるよう支援している。これまでに7人が塾を「卒業」し、6人が町内で就農した。うち5人は町外からの移住者だ。

町は就農者の販路拡大などについて相談に乗っており、16年10月からは町のイベントなどで就農者が軽トラックで野菜を売っている。太田さんは「身近に新規就農の仲間がいて相談もできる。町が支援に力を入れてくれ、新規就農するのに心強い町」と話す。

今回の取り組みは、近年空き店舗が目立つ中心商店街を活性化する狙いもある。栗田さんは「知人の整骨院と連携して直売所でイベントを開くなど、高齢者に立ち寄ってもらえる場にしたい」と語る。

町農業振興課は「町も広報でPRしたり、他地域の先進事例を伝えたりして、就農者の活動を支えたい」と話している。

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