トランプ氏、東南アにも貿易で圧力 「公平な経済協力を模索」 - 日本経済新聞
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トランプ氏、東南アにも貿易で圧力 「公平な経済協力を模索」

【マニラ=鈴木淳】東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が13日、フィリピンの首都マニラで始まった。ASEANと米国の首脳会議では、トランプ米大統領は「我々は公平で互恵的な経済協力を模索する」と述べ、主要加盟国を念頭に米国の貿易赤字解消を求める姿勢を示した。中国が実効支配を進める南シナ海問題も焦点だが、フィリピンなどが対中融和姿勢を強め、議論が深まらない可能性がある。

米国はトランプ政権発足後、貿易赤字の解消のため、相手国の関税や非関税障壁などを調べる「不公正貿易」の調査を実施。東南アジアではベトナムやインドネシア、タイなどがやり玉に挙がっていた。2016年の対ASEANの米国の貿易赤字額は約838億ドル(約9.5兆円)。対日の赤字額(688億ドル)を上回り、米国の貿易赤字全体の11%を占める。

トランプ氏は「真に自由で開かれたインド太平洋地域を実現するためにASEANとともに働く」として、米国とASEAN加盟国との間で経済協力をより深めると表明した。一方、自国優先の姿勢も鮮明にし、各国には2国間の首脳会談などの場で公平な貿易を訴えている。

10月初め、タイのプラユット暫定首相をホワイトハウスに迎えたトランプ氏は「我々はあなた方にもう少し多くモノを売れるように努力する」との表現で貿易問題に言及した。7月にインドネシアのジョコ大統領と会談した際にも貿易を一層拡大したいとの意向を示していた。

トランプ氏は13日のASEANとの首脳会議で「この地域の国々には強く、独立して繁栄してほしい。他の国に付き従う国にはなってほしくない」と述べ、ASEAN域内で影響力を増している中国をけん制した。

米国はオバマ前政権時代にはアジア重視政策を掲げ、東南アジアへの関与を深めており、同地域に対するトランプ政権の姿勢が注目されていた。トランプ氏は「米国は地域への関与を続ける」と話したが、具体策は明らかになっていない。

ASEAN10カ国による首脳会議も13日、開かれた。中国がフィリピンやベトナムと領有権を争う南シナ海問題は、対中融和姿勢をとるフィリピンと、海洋進出を巡り中国に厳しい姿勢をとるべきだとするベトナムなど一部加盟国との間で意見調整が行われているもようだ。

地域で深刻化するテロについて「あらゆる形のテロを強く非難する」とする見通しだ。比南部ミンダナオ島では今年、過激派組織「イスラム国」を信奉する武装組織が一時期、比政府軍などと激しい戦闘になった。ASEAN内でテロ対策が喫緊の課題として挙がっている。

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