2017年11月22日(水)

神鋼「閉鎖的な組織風土」 納期優先 品質意識の欠如 強い権限委譲 

神鋼不正
環境エネ・素材
2017/11/10 23:15
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 製品データ改ざんを巡り会社独自の原因究明と再発防止策を打ち出した神戸製鋼所。アルミ・銅事業部門では品質管理部門の独立性が保たれていないなどの問題を指摘し、ずさんな管理体制が改めて浮き彫りになった。経営責任などは弁護士で構成する「外部調査委員会」の報告書がまとまった後に判断するとしており、信頼回復までの道のりは遠い。

 ■「お荷物」だったアルミ事業

 不正が最も多かったアルミ部門。2000年代中盤までアルミ・銅事業は同社の足を引っ張っており、利益の低迷が長期間続いたため「他社との統合を検討したこともあった」(同社関係者)という。報告書でも「アルミ・銅事業で顕著にみられるように全社への十分な収益貢献を果たすことができずに苦しんできた」と指摘している。

 このため、現場には部門存続のために「とにかく受注をとる」という意識がまん延、不正に手を染めていった。川崎博也会長兼社長も「経営陣がプレッシャーを与えてしまった」と記者会見で打ち明けた。

 顧客と契約した規格や品質基準を下回った場合でも、顧客の了承を得た場合に製品を「トクサイ(特別採用)品」として出荷するケースは他の業界でもみられる。しかし、早期の収益化を急ぐ神鋼のアルミ・銅部門は顧客の了解を得ずに「正規品」として出荷。顧客も気づかなかったことから常態化していった。

 ■「現場任せ」の経営陣

 業界トップの新日鉄住金JFEホールディングスが再編や海外進出で鉄鋼事業を強化するなか、同事業で太刀打ちできない神鋼は「多角化」を加速する。その結果、神鋼はアルミ・銅のほか建設機械や電力など事業部門は7つにまで増えていった。

 事業領域が広がるなか、経営陣は各事業の工場や製造工程を把握できなくなった。各事業部門に収益責任や人事、品質確認などの権限の委譲を進め、経営陣は現場に経営を実質的に「丸投げ」していった。

 組織がたこつぼ化するなか、「製造部署と品質保証部署を行き来する者も出てきた」結果、「品質保証部署の独立機能を確保できず、(製造部署への)けん制機能を発揮できなかった」と報告書は指摘した。

 ■経営陣に「声を上げても仕方ない」

 ものづくりや品質管理を現場に「丸投げ」する経営陣と、事業存続のためには不正もいとわない現場。その労使間の分断された状況が長く続いた結果、「顧客から品質に対するクレームがない限りにおいては検査仕様や製品の強度などの軽視が許容されていった」

 報告書では経営陣を「工場での生産活動に伴い生じる諸問題を把握しようとする姿勢が不十分だった」と指摘。一方、経営側から収益目標や納期の必達を迫られる現場も「声をあげられない、声を上げても仕方がない」という認識が広がっていった。その結果、神鋼全体に「閉鎖的な組織風土が生まれた」と報告書は結論づけた。

 神鋼は今後、弁護士で構成する「外部調査委員会」がこれまでの自主点検などの調査が妥当だったか判断する。社長ら経営陣やOBからの聞き取り調査も進めており、12月中にまとまる見通し。川崎社長ら経営陣の進退もその時に明らかにされる見通しだ。

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