2017年11月19日(日)

加計獣医学部の新設答申 専門家はこう見る 

社会
2017/11/10 22:48
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 学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部が来春、新設されることが決まった。獣医学部の設置抑制という岩盤規制の突破が実現する一方、安倍晋三首相や周辺の関与の疑いが取り沙汰され、行政文書の管理や開示のあり方も問われた。文部科学省の内部文書流出による疑惑の浮上から約半年。一連の問題とその結末をどう評価するか、専門家らに聞いた。

 「これでお墨付きを得たとは言えない。『丁寧に説明を尽くす』と主張してきた安倍首相は今後も説明を続けるべきだ」。元文科官僚の寺脇研・京都造形芸術大教授はこう訴える。

 一連の問題では「総理のご意向」と書かれた文科省の内部文書などの存在も判明し、官僚による官邸などの意向の忖度(そんたく)の有無が疑われた。寺脇氏は「専門的な検討など必要な手順を踏まずに忖度で重要な意思決定がなされたとすれば、不正とはいえなくても不適切。意思決定の過程をさらに検証してほしい」と求める。

 宮崎公立大の有馬晋作学長(地方自治論)は「結論ありきの姿勢は疑問視されて当然だが、決定プロセスでの今治市の行動には問題はなかったのでは」と言う。「市職員が政府関係者と会っていたという疑惑もあるが、特区申請の問い合わせなどであれば自然な行為」とみる。

 国家戦略特区については「省庁と既得権益がつくる岩盤規制を砕き、成功例を全国に広めるのには有益な制度。今回の問題が制度の停滞を招いてはいけない」と強調。「地方分権の観点からみると地方が1つの事業のリーダーになることは望ましい。各地域の事業が成功した場合、全国的な規制緩和をスピーディーに進める仕組みづくりが大事だ」と話す。

 情報公開制度の普及に取り組むNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「決定プロセスに本当に問題がなかったのか、検証できるだけの行政文書が政府側から公開されないまま、時間切れを迎えた」と残念がる。

 獣医学部の開設大学を加計学園の1校に絞り込んだ経緯を巡り、山本幸三・前地方創生相は「一点の曇りもないルールに従ってやった」と断言した。

 だが、三木さんは「安倍首相の下で規制改革を推進する内閣府の内部でどんな議論があったのか、国民にはほとんど明らかにされていない」と指摘。政府の情報開示の不十分さを大きな問題として挙げている。

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