2019年8月25日(日)

特区のプロセス、丁寧に説明を 加計獣医学部認可へ

2017/11/10 22:43
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政府の国家戦略特区を利用した学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画が、文部科学省の審議会で認められた。長年新設が規制されてきた獣医学部が来春、52年ぶりに誕生する。一方で特区の選定過程などには不透明さが残り、野党は特別国会でも追及する構え。成長戦略の下で規制改革を着実に進めるためにも、より丁寧な説明と制度運営が求められる。

建設が進む学校法人加計学園の岡山理科大獣医学部(愛媛県今治市)

「学生募集や大学の準備に影響を与えないよう速やかに(認可を)判断したい」。林芳正文科相は10日の閣議後記者会見で週明けにも獣医学部の新設を正式に認可する考えを示した。同学園の計画を審査してきた大学設置・学校法人審議会が9日付で設置を認めるよう答申したことを受けた。

加計学園の獣医学部は傘下の岡山理科大が愛媛県今治市に開設する。獣医学部の新設は1966年の北里大以来、実に52年ぶりだ。

背景には国の「岩盤規制」があった。獣医師が過剰になる恐れがあるとして政府は獣医学部の設置を抑制。愛媛県と今治市は構造改革特区を活用した新設を2014年までに計15回提案したが、いずれも却下された。

今回、新設に道を開いた国家戦略特区は首相主導で地域を限定して規制を緩和する仕組みだ。地方の提案を起点とする構造改革特区に比べ、国が前面に立って戦略を決めることで、より大胆な規制緩和を実現できる。

獣医学部の新設解禁は15年の日本再興戦略に盛り込まれ、国家戦略特区諮問会議で公募の結果、加計学園が事業者に選ばれた。

局面が変わったのは今年5月。文科省の内部文書が流出した。内閣府職員が文科省職員に「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」として早期開学を迫るやりとりが記載されていた。

加計学園の加計孝太郎理事長は安倍晋三首相の長年の友人。官邸が便宜を図ったのではないかとの疑惑が浮上した。15年6月の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)に愛媛県や今治市の担当者とともに、同学園の関係者が説明補助者として出席していたことなども「加計ありき」との印象を与えた。

野党側は同年4月に同市職員が首相官邸を訪問していた点も「特別扱い」と関連づけて追及。政府側は「選定プロセスに一点の曇りもない」と強調するが、客観性のある根拠はなく、疑念はぬぐい切れていない。

様々な規制の中でも参入規制は健全な競争を阻害し、弊害が大きいとされる。これを突破するのに、国家戦略特区が有用なのは間違いない。

経済政策に詳しい小峰隆夫・大正大教授は「特区制度は規制緩和を促す成長戦略の柱。今回はプロセスが問題になったが制度自体の意義は変わらない」と強調。その上で「国家戦略特区は国が事業者を募る形で、国の意思が作用しやすい。その分、国民の納得を得られるよう政府はより丁寧にプロセスを説明する必要がある」と話している。

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