2017年11月18日(土)

神鋼、絶てなかった不正の連鎖 川崎社長「閉鎖的な組織風土」

環境エネ・素材
経済・政治
2017/11/10 19:29
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 製品データ改ざんを巡り会社独自の原因究明と再発防止策を打ち出した神戸製鋼所。アルミ・銅事業部門では、9つの事業所・子会社で5年以上不正行為が続いていたことが明らかになるなど、ずさんな品質管理体制が改めて浮き彫りになった。経営責任などは弁護士で構成する「外部調査委員会」の報告書がまとまった後に判断するとしており、全容解明と再浮上までの道のりは遠い。

 「収益さえ出ていればそれでいいという経営管理構造だった。現場が声を上げられず、閉鎖的な組織風土があった」――。都内で10日に開かれた記者会見で川崎博也会長兼社長は複数拠点で不正が続いた背景をこう表現した。

 最も不正が多かったアルミ・銅事業では品質保証部門の独立性が保たれていなかった。納期や厳しい品質要求に応えられない場合に、品質データを改ざんし「生産や納期の優先する風土があった」説明した。顧客からのクレームが発生しなければ新たな対策が講じられず「品質コンプライアンスの意識が著しく低かった」とした。

 具体的には品質検査部門で記入した手書きの検査の値を、別の関係者が改ざんすることが可能だった。川崎社長は「捏造(ねつぞう)が可能な検査プロセスで、不適切行為の機会を与えることになった」と釈明した。現場から声を挙げても仕方がないとの風土が閉鎖的な風土を生んだと分析した。

 素材メーカーと顧客はあらかじめ両社で定めた規格を下回った場合でも、顧客の了承を得た場合に製品を出荷する場合がある。いわばアウトレット品を「トクサイ(特別採用)」として出荷する。だが、神鋼は顧客の承諾なしに勝手に出荷したケースが常態化していた。

 不正が引き継がれたマニュアルはないもようだが、担当者レベルで不正を引き継がれていた。実際に不正に携わった神鋼のOBは「現場では悪いという認識はほとんどなかった」と述べている。同業他社の幹部は「これだけ大規模な問題は通常はあり得ない」としており、神鋼の低い品質意識の特異性が際だっている。

 神鋼は鉄鋼やアルミ・銅事業だけでなく、建設機械や電力など7事業を抱える。多角化経営を強みとしてきたが、各事業の縦のラインで人材や情報を抱え込む「タコツボ」経営に陥っていた。入社から退職まで同じ職場で過ごすケースもあり、結果として、各事業で問題が長期間にわたって顕在化しなかった。

 神鋼は長期間にわたって事業部門制度を敷いたことで、各事業部門に収益責任や人事、品質確認などの権限を委譲してきた。川崎社長は「現場任せが続いており、結果として経営層が問題を把握することができなかった」と謝罪した。生え抜き社員が工場長、役員などに昇格したが、不正が神鋼全体の問題として共有されることはなかった。

 神鋼は過去にも不祥事が相次いでいる。総会屋への利益供与や政治資金規正法違反で社長経験者らが引責辞任に追い込まれてきた。その都度、再発防止策を講じてきたが、今回も不正の連鎖を絶つことができなかった。

 神鋼は弁護士で構成する「外部調査委員会」がこれまでの自主点検などの調査が妥当だったか判断する。社長ら経営陣やOBからの聞き取り調査も進めており、12月中に川崎社長ら経営陣の責任範囲についても言及する見通しだ。

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