2017年11月24日(金)

5年ぶり「相乗り」ロケットに挑戦、三菱重工

自動車・機械
2017/11/10 17:31
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 三菱重工業は10日、飛島工場(愛知県)でH2Aロケット37号機の機体を公開した。12月に打ち上げる同機の目玉は、衛星を1度に2基同時に搭載する「デュアルローンチ(相乗り)」。それぞれ異なる軌道に投入するのは同社にとっても初めての試みで、海外の競合と競って打ち上げの受注を確保するためには確立させておきたい技術だ。

H2Aロケット37号機は2つの衛星をそれぞれ別の軌道に投入する

 二村幸基・打ち上げ執行責任者(執行役員フェロー)は「同時打ち上げは市場にニーズがある。実績を積み重ねることが重要だ」と話す。打ち上げるのはいずれも政府衛星で、気候変動観測衛星「しきさい」を高度800キロメートルで切り離した後で2段エンジンを再着火。高度480キロメートル程度まで低下したところで技術試験機の「つばめ」を分離する。つばめは「超低高度」といわれる300キロメートルより低い軌道域で様々なデータを収集する。

 超低高度で衛星を運用するのはなかなか難しい。つばめを分離する高度400キロメートルは800キロメートルに比べて大気密度が1000倍にもなる。空気抵抗が増すため、定期的に加速させておかないと落ちてしまう。従来は30分程度で役目を終えることの多い2段ロケットも今回は1時間半以上も太陽光にさらされるため、燃料となる液体水素を搭載したタンクの表面を白くコーティングするなど対策を打った。

 衛星の相乗りはライバルの欧州アリアンスペースがすでに標準モデルに近い存在としているが、三菱重工にとっては5年ぶり。相乗りを嫌う発注者や衛星の軌道による制約があり、トライする機会は限られてきた。政府衛星だけでなく、通信や放送衛星など商業衛星の受注を取るためには日本が得意とする成功率の高さだけでなく、打ち上げのバリエーションを増やす戦略も欠かせない。

 三菱重工は国産旅客機「MRJ」や発電所向けガスタービンなど中核事業が軒並み不振を極めている。宇宙は防衛装備品と並び、数少ない安定した事業といえる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの移管で打ち上げ輸送サービスを包括的に手掛け始めて10年、ロケットの打ち上げ失敗はまだない。JAXA時代から通算した成功率も97%を超え、正確性も高い評価を得ている。

(企業報道部 市原朋大)

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