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住民「騒動で様子見」、獣医師関係者「議論不十分」 加計獣医学部

学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設が、計画通り実現することが決まった。安倍晋三首相や周辺の関与が取り沙汰され、国民の関心を集めた問題はこれで決着に向かう。地元の愛媛県今治市では歓迎の声が上がる一方、新設に反対してきた獣医師関係者からは「議論が不十分」との不満も漏れる。

「今治に若い人が来てくれるのは素直にうれしい」。建設中の獣医学部のキャンパスの近くでラーメン店を営む横内雅さん(42)は、文部科学省の大学設置・学校法人審議会による認可の答申を喜ぶ。客は20~30代の若者が中心。集客増への期待も膨らむ。

現在、今治市内には短大が1校あるだけだ。高校卒業後は進学で地元を離れ、そのまま就職して戻らない人も多い。「変な意味で日本中から注目されてしまったが、地元で開学に反対する人は少ない」という。

「一連の騒動でどれぐらいの学生が集まるか見通せない。様子見ムードが広がっている」。慎重な見方は市内で不動産業を営む男性(77)。現在、学生を見込んだアパートやマンションの新築物件はそう多くはない。「新たな物件を建てようと思う人は少ないだろう」とみる。

国内で獣医学部ができるのはほぼ半世紀ぶり。同学園は創薬など先端的な獣医師の養成をうたう。ただ獣医師団体や大学関係者らからは新設に批判的な声が多い。

既存の獣医学部の統合再編を主張している喜田宏・北海道大学名誉教授は「獣医学部は教員の数が少なく1人当たりの負担が大きい。これ以上新設したら教育の質が下がることになる」と懸念する。「新設の必要性の議論が十分になされないまま認可の話が進んだ」と腑(ふ)に落ちない様子だった。

獣医師の中でも食中毒対策や感染症防止のための家畜検査などを担う地方の公務員獣医師は不足しているとの指摘もある。「現場の負担は増す一方。大規模な感染症が起きれば大変だ」(東北地方の自治体の畜産担当者)と偏在解消を求める声は根強い。

一方獣医コンサルタントの西川芳彦さんは、勤務時間や仕事の内容の割に給与水準が低いとして、「学部の新設に充てられる公費を公務員獣医師の待遇改善に充てるべきだ」と訴える。

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