2018年1月16日(火)

イチロー フィールド

フォローする

オフも妥協なし イチローが3度目のFA
スポーツライター 丹羽政善

(1/2ページ)
2017/11/13 6:30
保存
共有
印刷
その他

 中国・唐の時代の禅僧、百丈懐海(ひゃくじょうえかい)は、実にストイックな人だったという。広く伝わるこんなエピソードがある。

 百丈懐海は高齢になっても働くことをやめず、ある時、弟子らが心配し農具を隠してしまった。ゆっくり休んでほしいという思いからだが、するとその日、百丈懐海は食事をとらなかった。また心配した弟子たちが、「なぜ、食事を召し上がらないのですか」と尋ねると、こう答えたという。

 「一日作さざれば一日食らわず」

 弟子たちはもう、百丈懐海を止めることはできなくなった。

シーズンを終え「運動不足だね」

 10月1日。イチローは今季最終戦をマイアミで終え、1年を振り返ってどうだったかと聞かれて、真っ先に口をついて出たのが、この言葉だった。

 「運動不足だね」。続けて言っている。「きょうからトレーニングをするわ。というか、もうゲーム後やってましたから。ゲーム後というか、ゲーム中に」

 スタメン出場が22試合にとどまった2017年。打席数はわずか215。メンタル的な疲労はあるはずだが、体は休みを求めていない。

今季最終戦は10月1日の地元でのブレーブス戦。イチローのマーリンズのユニホーム姿はこれで見納めかも=共同

今季最終戦は10月1日の地元でのブレーブス戦。イチローのマーリンズのユニホーム姿はこれで見納めかも=共同

 「(オフも初動負荷トレーニング用の)マシンは、ここに来てやると思います。まぁ、あしたはしないけどね。家ではやりますよ。あしたは、荷物を(整理)するだけ。投げたり打ったりはしない。(明後日は)わからないですよ。まぁ、あしたはやらないというだけで」

 実際、シーズン終了3日後から球場でトレーニングを始めたという。10月20日、その様子をマイアミの地元紙「マイアミ・ヘラルド」が報じていた。同紙はさらに、日曜日を除いて週6ペースでトレーニングを続けており、日曜日に球場に姿を見せないのは球場が開いていないからで、そうでなければ週7ペースで練習をしているだろうとも伝えている。

 もちろん、イチローが休まないのは、必ずしも打席数が少なかったからだけではない。もう長く同様のルーティンを続けてきたからだ。仮に球場に来なくても家では体を動かすのだから、1年365日、イチローには妥協がない。そのストイックさも広く知られる。

オーナー交代、契約更新せず

 とはいえ今後、イチローが、マーリンズ・パークでトレーニングをすることはないかもしれない。11月3日、マーリンズは球団に選択権があったイチローとの来季の契約を行使しないと発表し、イチローはマーリンズの選手ではなくなった。オーナーが代わり、方針が変わり、その大きなうねりにイチローも巻き込まれた。まだ再契約の可能性は残されているものの、マーリンズのユニホーム姿は、10月1日の今季最終戦が見納めになったのではないか。

 ただ、イチロー本人は、早い段階からそれを覚悟していたよう。シーズン終了の時点ですでに多くの球団関係者の退団が決まっていた。するとイチローも、「僕も去るかもしれないですけどね」と苦笑し、こう続けた。

 「それは分かんないもんね」

日経電子版が2月末まで無料!初割のお申し込みは1月31日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

大リーグコラム

イチロー フィールド 一覧

フォローする
イチローは「速い球をショートの後ろに詰まらせて落とす技術は確実に存在する」と語る=USA TODAYUSA TODAY

 思わぬケガで始まったイチローの2017年シーズン。序盤は打撃が低迷。6月上旬までは打率が2割を下回っていた。ところが、6月の米ピッツバーグ遠征で、イチローいわく「見つける」と、打撃成績が上昇に転じた …続き (2017/12/12)

イチローは9月28日のブレーブス戦で27本目のシーズン代打安打を放ち、メジャー記録にあと1に迫った=APAP

 思わぬケガで始まったイチローの2017年シーズン。開幕して間もない4月半ば、およそ3年ぶりに古巣マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドを訪れると、最終打席で本塁打を放ち、シアトルのファンを沸かせた。 …続き (2017/12/11)

 10月1日の今季最終戦。4点を追う七回、マーリンズのイチローは大きな声援を背に代打の打席に立った。
 この試合は相手のブレーブスにとっても、順位には無関係な消化試合。それでも本拠地マーリンズ・パークの …続き (2017/11/27)

ハイライト・スポーツ

[PR]