2017年11月21日(火)

大阪都構想 4区案軸に議論の公算
初期コスト300億~700億円

総合
関西
社会
2017/11/10 7:00
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 大阪市を廃止し、現在の24区を4または6の特別区に再編する「大阪都構想」の財政収支を、大阪府・市が9日公表した。制度を審議する法定協議会(法定協)では初期費用の低い4区案を軸に議論が進む公算が大きいが、行政サービスの観点からは6区案を推す意見も根強い。府市は2018年秋の住民投票を目指し、今後は再編の経済効果も示すなどして住民の理解を得る方針だ。

 4区案も6区案も、隣接する区の組み合わせ方によって2通りずつ計4案ある。人口や税収の均衡を重視したのが4区A案と6区C案で、防災対策などを重視して淀川以北の区を1つの特別区にまとめたのが4区B案と6区D案だ。

 9日に開かれた法定協には、4案ごとに初期費用や財政収支の推移など都構想の素案が示された。新庁舎整備費などを含む初期費用は、4区A案が302億~479億円と最も安く、6区D案が354億~768億円と最も高かった。

 都構想が住民投票で賛成多数となり、22年度から特別区へ移行した場合の15年間の財政収支は、4区のA・B案は29年度から、6区のC・D案は32年度以降に安定的に黒字を確保できると試算した。4区案なら財政健全化の時期が早く、6区案では歳入不足に陥る年度も生じた。

 次回法定協が開催される11月下旬以降、1案に絞り込む議論が本格化する。松井一郎府知事が法定協後に「6区案は財源不足がかなり厳しい。相応の理屈がないと住民は納得できない」と述べるなど、4区案を軸とした議論が進むとみられる。

 ただ、行政区域が小さい6区案のほうがよりきめ細やかなサービスを市民に提供できるとの指摘もあり、吉村洋文市長は「収支をやりくりすれば6区案も成り立つと思う」と余地を残す。

 今回の素案では、前回の都構想案で強調された「再編効果額」は示されなかった。府市は前回「都構想が実現すれば、市営地下鉄民営化や府市立病院統合で大きな経済効果が出る」と訴えたが、15年の住民投票では否決された。

 その後、都構想の議論とは別に、府市議会で地下鉄民営化や病院統合が可決された。経済効果が都構想によるものとはアピールしにくくなった。

 9日の法定協では、大阪維新の会の委員が都構想が実現した場合の分かりやすい経済効果額を示すよう求め、松井知事は「数値化できるかどうか事務方に指示する」と応じた。

 都構想では保育所や私立幼稚園の認可など東京23区以上の権限が特別区に与えられる見込み。経済効果にとどまらず、住民の生活に与える具体的な利点を分かりやすく示せるかも問われそうだ。

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