2017年11月18日(土)

民泊解禁前に独自規制、都内自治体が検討

東京
2017/11/10 0:05
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 空き部屋に客を有料で泊める「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)施行を前に、独自に営業日数・地域などの規制を準備する動きが東京都内で本格化してきた。新宿区や大田区は住宅地での導入をめざす。一方、規制できる範囲や条件を具体的に示す政府の指針の公表はこれからで、対応を決めかねている自治体も多い。民泊を推進する政府と住環境への影響を懸念する地元の声との間で揺れている。

大田区は住宅地域での規制導入をめざす方針(同区内の特区民泊物件)

大田区は住宅地域での規制導入をめざす方針(同区内の特区民泊物件)

 民泊はこれまで旅館業法に基づく簡易宿所として営業するか、地域を限って認める「特区民泊」で展開するのが原則だった。ただこうした枠組みの外で違法民泊が横行。訪日外国人客の急増などを背景に需要が伸びるなか、一定のルールが必要との声が挙がった。政府は「営業は年間180日まで」などの条件付きながら解禁すると決めた。

 2018年6月15日施行予定の民泊法では地域の実情に合わせて都道府県や政令市、特別区など保健所を設置する自治体で独自に上乗せ規制できるようにした。都内では民泊による騒音やごみ出しのトラブル、見知らぬ人の出入りへの不安を訴える声が多く、規制を検討するところが目立つ。

【独自規制条例を検討する主な都内自治体】
自治体名状況
大田区住居専用地域などでの全面禁止をめざす条例案
新宿区住居専用地域では毎週月曜から木曜の営業を禁止する条例案
世田谷区有識者会議を6月に設けて対応協議中
千代田区有識者会議を6月に設け、規制強化の方向で検討中
八王子市10月に検討会を設置
目黒区7月に検討会を設置

 いち早く検討を進めてきた新宿区は主に住宅地となる「住居専用地域」で毎週月曜日から木曜日までの民泊営業を禁止する方針だ。営業を事前に周辺住民に説明することなどと合わせた条例案をまとめ、月内にも開く区議会定例会に提出する。

 同区では16年10月に有識者や住民らが参加する検討会議を設け、都市部の実情に沿った民泊ルールを話し合ってきた。住民からの苦情の多さもあり、民泊法の趣旨は踏まえつつも住宅地での規制強化に踏み切る。

 大田区は住居専用地域を中心に、ホテルや旅館が営業できない地域の民泊を全面禁止する意向だ。宿泊時は対面で本人確認や利用法の説明なども求める。同区が全国で初めて導入した特区民泊では住居専用地域などでの営業を認めていないため、歩調を合わせた。新宿区と同じく11月に開く区議会定例会に提出し、18年春の施行をめざす。

 国は民泊法の具体的な運用を示すガイドライン(指針)をまだ明らかにしていない。法案検討時には「住居専用地域では1日も営業できない」といった規制は認めないと説明していた。今後明らかになる国の指針の内容次第では先行する両区も条例案の見直しを迫られる可能性がある。

 都内の他の自治体も条例での規制を模索する。千代田区や世田谷区は有識者会議で協議し、多摩でも八王子市が庁内組織で検討に入った。ただ指針や他の自治体の動きを見定めたいとの声が多く、条例案提出は18年以降が大半だ。法施行3カ月前の18年3月になると民泊営業したい個人や事業者の届け出などが始まる。残された期間は少なく、準備は綱渡りになりそうだ。

■背景に住民の声

 民泊は余っている時間や場所、モノを共有する「シェアリングエコノミー」の代表格だ。遊休資産の活用や新ビジネス創出といった面で注目が集まる。政府は訪日外国人客を2020年までに年間4000万人まで増やす目標を掲げており、受け皿としての期待も大きい。

 一方で民泊には都市部を中心に、多発する近隣住民とのトラブルや違法行為に利用されるのではといったマイナスイメージもつきまとう。住民の反対が多ければ、自治体は「不利益を最小限に抑える方向に動かざるを得ない」(ある区の担当者)のが実情だ。

 事業者は共存の道を探っている。民泊仲介サイト世界最大手の米エアビーアンドビーは民泊営業したい個人や事業者が必要な届け出について、サイト登録時に行政に直接情報を伝える仕組みづくりなどを提案中だ。マイク・オーギル同社アジア太平洋公共政策局長は「課題を創造的な形で解決したい」と話す。

 関係者からは「規制が厳しすぎると、地下に潜ってヤミ民泊を続ける人が増える。真面目に届け出た方が損をする」といった声も聞かれる。民泊がすでに広がる中、どこまで規制すべきなのか。自治体の悩みは尽きない。(河野俊)

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