2017年11月22日(水)

ブランド豚、餌から育む
関紀産業 川上寛幸専務

コラム(ビジネス)
サービス・食品
関西
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2017/11/11 6:30
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 大阪でブランド豚「犬鳴(いぬなき)ポーク」を生産する関紀産業(大阪府泉佐野市)。専務の川上寛幸(39)が取り組むのは生産、加工、小売りに加え、さらに上流の餌作りも自ら手掛ける「7次産業」だ。出荷頭数は年2千頭と牧場の規模こそ大きくないが、地元の支持を得ながら、新たな養豚業の姿を示す。

 関西国際空港から東に車で30分ほどの、のどかな丘陵地帯。豚舎では1千頭ほどが飼われ、1日2度の餌の時間には「キー、キー」という鳴き声に包まれる。

犬鳴きポークの子豚を抱く関紀産業の川上専務

犬鳴きポークの子豚を抱く関紀産業の川上専務

 かわかみ・ひろゆき 2001年三重大工学部卒、関紀産業子会社で食肉などを販売するカンキフーズに入社。08年関紀産業に入社し、専務取締役に就任。大阪府出身。

 関紀産業は川上の父で社長の幸男(66)が1973年に創業した。繁殖から出荷まで一貫して手掛ける大阪で唯一の養豚場だ。今後5年以内に代替わりする予定という。

 当初は家業を継ぐ気はなかった。国立大工学部に進み、化学を専攻したほどだ。ただ大阪で養豚業が衰退し競争相手が減っていく状況を見て、流通をうまく制御すればブランド化できると考えた。「豚ビジネス」に乗り気になり2001年に実家に戻った。

 まず流通・小売りで仕掛けた。新しい会社をつくり、食肉市場に出荷された自社産豚肉の8~9割を買い戻し、消費者に売って歩いた。最初は散々だった。近くの漁港に出張販売するなどしたが顧客開拓は難航。「3年間、給与が出なかった」と振り返る。

 断られ続けても辛抱強く売り歩いた時間がやがて実を結ぶ。1年目には月5万円ほどにすぎなかった売り上げは08年には6倍の30万円に。当初100グラム200円以下だったロース肉の価格も400円以上になった。

 「自分たちで価格の決定権を握らないと本当の商品価値を伝えられない」。脂が分厚く甘いのが犬鳴ポークの良さだが、脂身が多いと肉の等級は低くなる。特徴を消費者に直接伝え、価格を決める。

 生産から加工、小売りまで手掛ければ「6次産業」だ。関紀産業はここに餌作りが加わる。泉佐野市には食品コンビナートが多く、パンやうどん、パスタなどの残さが出る。これらを安価で購入して乾燥させ、たんぱく質などと混ぜて餌をつくるノウハウは父、幸男さんの功績だ。

 ブランド名は近くの犬鳴山温泉から名づけた。一般の豚はトウモロコシを主成分とする餌で育ち、約6カ月で出荷される。関紀産業の餌は小麦が主体で脂肪分が少なく、ゆっくり育つ。養豚場にいるのは約8カ月。この間、皮下脂肪がじっくりと蓄えられる。

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