2017年11月19日(日)

ユーロ圏2.2%成長、17年見通しを大幅上方修正
危機後最大の伸びに

ヨーロッパ
2017/11/9 19:09
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 【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、2019年までの経済見通しを公表した。ユーロ圏の17年の実質成長率は前年比2.2%で、5月の前回見通し(1.7%)から0.5ポイント上方修正した。08年に発生したリーマン・ショック後で最も高い伸びとなる。欧州委は底堅い成長を持続させるためには、単一通貨ユーロの改革と高止まりする政府債務への対応が欠かせないと訴えた。

 「17年のユーロ圏経済は過去10年で最も速いペースで成長する見通しだ」。欧州委は見通しの公表文で、5月時点の見通しを大きく上回ったユーロ圏経済の底堅さに自信をみせた。3%台だった07年には届かないものの「脱・金融危機」が鮮明になった。

 実質成長率は18年も2.1%と5月時点の見通し(1.8%)から上方修正。今回新たに公表した19年の見通しは1.9%とした。1%程度とされる潜在成長率を上回るペースが当面続くとの予測だ。異例の量的金融緩和の幕引きへ動き出した欧州中央銀行(ECB)の判断を支える内容といえる。

 失業率の見通しも17年は9.1%と5月(9.4%)から上方修正。19年は7.9%まで回復すると予測する。すでにドイツの失業率は東西統一後で最低水準に達して「完全雇用」状態ともいわれる。堅調な成長の持続で、雇用改善が域内に幅広く広がると見込む。

 一方、消費者物価上昇率の見通しは17年が前年比1.5%と、5月見通し(1.6%)から下方修正した。19年も1.6%にとどまり、ECBが政策目標に掲げる「2%未満で、その近辺」には届かない。見通しを下方修正した理由は「主に依然として弱い賃金上昇率の見通しに関連している」と説明した。

 今後、見通しを下押しするリスクは主に対外要因だと指摘。朝鮮半島情勢など地政学的リスクの高まりや、世界的な金融引き締めに伴うリスク回避の広がり、中国経済の調整、保護主義政策の広がりを挙げた。内部のリスク要因では、英国のEU離脱やユーロ高への警戒を示した。

 EUで経済・財務分野を担うモスコビシ欧州委員は「5年間にわたって緩やかな回復が続いた後、欧州の成長は加速している」と評価。一方で「高水準の政府債務や賃金上昇の鈍さなどの課題はなお残っている」とも強調した。

 欧州委は経済見通しの分析で、すでに5年間にわたってプラス成長が続くユーロ圏が拡大基調を維持し、成長の果実が幅広い層へ届くためには、各国の構造改革やユーロ圏改革の実行が欠かせないとの認識を示した。欧州委は12月6日に欧州版の国際通貨基金(IMF)の創設などユーロ圏改革案を公表する予定。EUは18年6月の首脳会議で、具体的な改革策を決める方針だ。

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