2017年11月24日(金)

ロータリーエンジン、EVで復活 個性と距離伸ばす
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コラム(ビジネス)
自動車・機械
2017/11/10 6:30
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 マツダは2019年、発電用にロータリーエンジンを載せた電気自動車(EV)を欧米に投入する。世界で排ガス規制の厳格化などが進むなか、クルマの電動化は避けて通れないテーマ。航続距離が伸び、音も静か。マツダは、自社の技術力の象徴だったロータリー技術と電動化を組み合わせ、他社にない個性として存在感を示すことを狙っている。

 「ロータリーエンジン復活なんて言ったらファンに怒られる」。同社の幹部は自嘲気味に話す。ただロータリー技術を量産できるのはマツダだけ。部品の汎用化が進んで個性を打ち出しにくくなるとも指摘されるEVにあって、世界的には小規模メーカーのマツダが埋没しないために期待がかかる。

 マツダが計画するのは小型ロータリーエンジンを搭載し、必要に応じて発電するEV。自動車業界では「レンジエクステンダー付きEV」と呼ばれる。エンジンを走行の動力に直接使うハイブリッド車(HV)とは異なる。独BMWの小型EV「i3」では、レンジエクステンダー付きモデルの支持が高い。

 ロータリーエンジンは気筒の中をおむすび型のローター(回転子)が回転して吸気や燃料の圧縮、爆発をする仕組み。小型で出力が高いのが特長で、1967年にマツダがスポーツ車「コスモスポーツ」で搭載モデルを発売した。ただ燃費などが課題で、2012年にロータリーエンジン搭載車の生産が終わった。

 一方、振動が少なく静粛性が高いのもロータリー技術の特長だ。静かに走り出すEVとの相性がいい。発電に使えば、EVの弱点である航続距離の短さを補える。

 EV開発の出遅れが指摘されるマツダだが、12年に小型の「デミオEV」をリース限定で100台限定で発売した。合わせて発電用に排気量330ccの小型ロータリーエンジンを積むレンジエクステンダー付きも試作。航続距離はデミオEVの2倍、400キロメートルを確保した。

 当時、量産EVでは三菱自動車の小型車「アイ・ミーブ」や日産自動車の「リーフ」が既に市場投入されていた。ただマツダはブランド再構築などほかに優先すべき課題を抱え、デミオEVは大がかりな販売にはならなかった。それでも「EVを量産ラインで生産するノウハウは蓄積できた」(マツダ幹部)。

12年に販売したデミオEV

12年に販売したデミオEV

 エンジン技術は電動化時代へのつなぎなのか。マツダはそう考えていない。例えば、2040年にガソリン車の販売を禁止すると宣言した英国だが、詳細をみると、厳しい二酸化炭素(CO2)排出量規制に対応すれば一部燃料にガソリンを使うことは可能だ。

 さらに可能性を秘めるのが、水素燃料との相性の良さだ。ピストンの往復運動を回転運動に変えるレシプロエンジンと異なり、燃料噴出の空間と燃料燃焼の空間が異なり、安全性を高く保ちやすい。足元では一時開発を凍結しているが、燃料電池車(FCV)でも技術が生かせる。

 マツダの世界販売シェアは2%。だが「各国の環境規制に対応した商品群を展開する」と話す小飼雅道社長の言葉からは、どんな規制や市場でも個性を出してみせるという自負が見え隠れする。

(企業報道部 湯沢維久)

[日経産業新聞 2017年11月10日付]

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