2017年11月20日(月)

AI導入の最大の足かせは社内人材の不足
VentureBeat

コラム(テクノロジー)
AI
2017/11/12 6:30
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 人工知能(AI)がこれまでにない恩恵を約束してくれることにほとんど異論はない。だが、AIの恩恵をまだ生かしていない企業は60%近くに上ることが、米調査会社ガートナーがこのほど発表した調査結果で明らかになった。さらに驚きなのは、AIを活用した解決策を展開・実施している企業は10%強にとどまっていることだ。

 この調査に基づけば、AIの有望性と、企業がAIを導入する能力には差があるようだ。これをさらに裏付けるのが、パッケージ化されたAIの解決策を購入するか、アプリケーションに搭載済みのAI機能を使う方がよいと答えた企業が半数近くに達した点だ。これは不思議ではない。エンドユーザーの企業はビジネス問題の解決手段としてAIを活用しようとしているのであり、AIのテクノロジー自体を買うのが目的ではないからだ。

 大事なのは、AIパッケージやAI搭載アプリケーションの活用を推進することだ。多くの企業は社内スキルが不足しているため、最適な解決策を自前で実施する体制を整えられないからだ。

 このスキルのギャップがAI導入の最大の足かせだとガートナーは分析している。

 この調査で回答した企業のAIプロジェクトはごく初期の段階にある。実際、多くの企業は過去に何が起きたかを明らかにする「記述的分析」から、将来を予測し、どうすべきかを示す「予測的・処方的分析」のための基礎的な機械学習を使った解決策にまだ移行できていない。

 今回の調査でもう一つ明らかになったのが、AIの解決策を導入している企業は自社を「(最先端のテクノロジーの活用について)積極的」だと考えている企業ではない点だ。AIを使った解決策を導入していると答えた企業の半数以上が、自社を「主流派(通常はテクノロジーが成熟するのを待つ企業)」とみなしていた。

■AI戦略はまだ情報収集の段階

 企業はAIに強い関心を抱いている。顧客企業からガートナーに寄せられたAI関連の問い合わせ件数は2015~17年の間に4倍に増えた。「人工知能」という言葉は、16年1月には検索ワードの上位100位にも入っていなかったが、1年後には11位に躍進し、17年5月には7位になった。これはデジタル事業戦略の一環として、AIの活用方法を理解することに強い関心がある証拠だ。

 もっとも、AI戦略の策定で課題に直面していると答えた企業は約3分の1を占めた。まだ情報収集の段階にある企業が59%に上ることを考えると、これは当然だ。セキュリティーを課題に挙げた企業は30%、(既存システムとの)統合が課題だと答えた企業は27%で、大半がまだ情報収集の段階にある企業だった。

 AIを活用する価値の測定手段を決めるのが唯一の課題だと答えた企業は、意外にも23%に上った。こうした企業のほとんどはAI戦略がまだ発展途上の段階にあり、検討している解決策のビジネス価値を測る重要性をまだ理解していない可能性が高い。

■学生に目を向けよ

 企業は高度な分析プロジェクトに必要な経験豊富なデータサイエンティストの発掘にいまだに苦労しているが、ディープラーニング(深層学習)などAI技術に詳しい社員を見つけ出すのはさらに至難の業だ。

 AIを活用した技術革新のほとんどは大学レベルで起きており、卒業する学生は米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米マイクロソフトなどクラウドAI事業者に就職したり、ベンチャーキャピタルからの投資をテコに起業したりする。

 このため、多くの企業は社内でのスキル向上に目を向けている。システムインテグレーター(SI)から自社のデータサイエンティストに知識を伝授してもらうため、SIと関わる企業もある。

 企業は地元の大学から、AIを専攻しているか、プロジェクトやインターンの経験があるスキルの高い学生を採用すべきだ。最先端のデータ科学や機械学習の分野で学士号か修士号を取得予定の学生を採用できれば理想的だ。さらに、チームのスキル構築だけでなく、経営陣にAIの恩恵を示す手段として、社員の再教育に力を入れ、迅速な試作品づくりを進めるべきだ。

■AI戦略の策定を

 企業は意思決定の改善やプロセスの効率化などAIの利用が見込める分野での用途を見定めるため、ビジネス部門の幹部と組んでAI戦略の策定に着手すべきだ。試験段階に入る前に、AI戦略に基準を設けることも必要だ。

 戦略が始動した後も、解決策を洗練し、最適化するために引き続き基準を活用すべきだ。投下資本利益率(ROI)を実証するために、経営陣と基準について積極的に意見を交換することも重要だ。これは経営陣から賛同を得る上で不可欠になる。他の企業の解決策にAI機能を使うプランを理解できるよう、既存のアプリケーションの評価も怠ってはならない。

 AIを活用すれば、アプリケーションやサービス、デジタル資源をスマート化できる。アプリケーションの責任者はAI導入の時期や、導入に伴う顧客や社員への課題の対応策を定めておかなくてはならない。

By Jim Hare=ガートナーの調査部門バイスプレジデント。アナリティクスとビジネスインテリジェンス市場が専門

(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

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