2017年11月22日(水)

事業承継基金50億円 都18年度予算要求

東京
2017/11/9 8:05
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 東京都は8日、2018年度予算の各部局の要求概要をまとめた。小池百合子知事が成長戦略の柱とする国際金融都市構想に5億円を計上。都内企業の支援では50億円規模の事業承継ファンドの創設を目指す。保育支援などの少子社会対策費は17年度当初比6%増の2531億円を要求した。

海の森水上競技場(東京臨海部)は18年度末に完成する予定だ(イメージ)

海の森水上競技場(東京臨海部)は18年度末に完成する予定だ(イメージ)

 一般会計の要求総額は6兆8807億円で1.1%減。メリハリをつけるなかで小池カラーの施策を新規・拡充する取り組みが目立つ。

 18年度から本格的に動き出す国際金融都市構想は官民一体のプロモーション組織設立の調査費や東京金融賞(仮称)の創設などに約5億円を充てる。金融と並ぶ成長戦略の目玉として自動走行システムの実証実験を羽田空港周辺で推進する計画にも1億円超を投じる。

 高齢化の加速を見据えて、中長期的に都内企業の活力を維持するための事業承継ファンドの創設には50億円を要求した。官民が連携して中小企業の後継者育成や事業再構築を手助けする。

 小池知事が旗を振る働き方改革では、都庁職員のテレワーク体制の推進費用として約40億円を想定。庁外でもセキュリティーに配慮して仕事をできる端末3千台をまず本庁の管理職に配備する。

主な予算要求内容(単位、億円)
分野事業要求額
成長
戦略
国際金融都市構想の推進
羽田空港周辺での自動走行実験1.4
事業承継ファンドの創設50
福祉保育所のIT化による保育士の負担軽減8.3
介護分野の若手奨学金支援1.3
介護分野のシニア人材研修0.5
環境・
安全
集合住宅の電気自動車(EV)充電設備の導入支援0.6
都バスの燃料電池バスのリース拡大0.6
都営新宿線のホームドア整備32
無電柱化の推進188
五輪競技会場の整備291
市場豊洲移転延期の補償42

 少子社会対策では区市町村の保育人材確保支援に5900万円を拠出する。保育現場の負担軽減のためのIT化の費用は5億円から8億円に拡大する。

 安全な街づくりも加速する。小池知事肝煎りの無電柱化の推進には188億円を盛り込んだ。新たに取り組む市区への補助は3倍増の6億円として、都道以外の整備も推進する。都営地下鉄新宿線のホームドア整備は32億円。東京五輪・パラリンピック前の2019年秋までに全駅での設置を目指す。都営浅草線でも計4駅でホームドアを整備する。

 18年10月中旬に築地市場の豊洲移転を控える中央卸売市場会計は全体で2.2倍の816億円に膨らむ。移転延期に伴う市場業者への補償費は42億円を見込む。17年度補正予算と合わせて90億円規模に達する。このほか豊洲市場の活性化に向け、生鮮品の産地と市場業者を橋渡しする支援事業で6700万円を要求。風評被害払拭の広報事業には1億6300万円を計上した。

 五輪・パラリンピックの準備費用は8%増の419億円。競技会場などの施設整備費はほぼ同水準の291億円。18年度末にはボート・カヌー会場の海の森水上競技場が完成する予定だ。大会運営を支えるボランティアの育成には、4倍超の11億円を計上した。ボランティアの選考や研修などが本格化する。

■都民提案も反映へ

 東京都の予算編成は例年、11月上旬に各部局の要求がまとまる。中央省庁の概算要求に相当する位置づけだ。これをまず財務局が査定した上で、年明けの知事査定にかける。正式な予算案は1月中旬に決定・発表し、2~3月の都議会に提出する。2018年度の予算編成もこの流れに沿って進む。

 16年に就任した小池百合子知事は、知事の予算編成権を前面に押し出した。各業界団体の要望は知事自らヒアリングした。従来、都議会が業界要望を差配して影響力を発揮していた仕組みを改めた。年末の予算原案がまとまった後に都議会の各会派が注文をつける「復活要望」の慣例も廃止した。編成プロセスを透明化する狙いで、財務局による査定結果の公表も始めた。

 2年目となる18年度予算編成では一連の取り組みを継続した。さらに新たな試みとして、一般の都民から事業の提案を募り、予算に反映する方針だ。都庁内でも、若手職員から部局を超えてアイデアを集める制度を設けている。

 ただ、こうした改革はあくまで手段にすぎない。本来の目的は都民の生活や東京の街づくりの改善だ。18年は4年の任期の折り返しの節目になる。「これから種を芽吹かせる段階に入る」と語る小池知事。予算に盛り込む政策も実効性が厳しく問われることになる。

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