行政文書の保存1年以上 森友・加計受け政府指針

2017/11/8 23:00
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政府は8日、行政文書の作成や管理のルールを厳格にする新指針を公表した。行政の意思決定に関わる文書の保存期間を「原則1年以上」と明記したのが柱だ。学校法人「森友学園」や「加計学園」を巡る問題で、関係府省が関連文書をすでに廃棄していたことへの批判に対応した。どの文書を行政文書として保存するかの認定では各省の裁量は大きいままで、重要な文書を個人メモとして廃棄される懸念も残る。

森友問題を巡り答弁する安倍首相(3月24日、参院予算委)

同日開いた内閣府の公文書管理委員会で新たな指針を示した。年内に同委員会で正式に決める。

新指針では、行政の意思決定過程の検証に必要な文書について、保存期間を原則1年以上とした。重要文書を安易に廃棄せず事後に検証できるようにするためだ。

2011年につくった現在の指針は、各省が文書の性格や重要度に応じて保存期間を1~30年の間で分類。廃棄するには内閣府に確認を求める必要がある。ただこれに該当しない保存期間1年未満の文書は、内閣府の確認なしに各省の判断でいつでも廃棄できた。

新指針では保存期間を原則1年以上としつつ、その例外として1年未満で廃棄してもよい文書について7種類を例示した。職員間の定型的で日常的な業務連絡や日程表、新聞の写しなど出版物や公表物を編集した文書などを挙げた。

行政文書の種類や保存期間を決める基準を各省の担当課ごとに公表することも明記した。これまで課ごとの基準は公表するケースが少なかった。より細かい組織単位で基準をつくり職員のルール順守の徹底につなげる。

文書の作成にあたり、会議の出席者や会話の相手方の了解を得て、より正確なものにすることも定めた。文書管理に携わる担当者増員も求めた。

今回の措置のきっかけとなったのは森友学園への国有地払い下げ問題だ。財務省が学園側との交渉記録を軽微な事案として保存期間を1年未満に分類。売買契約の成立後に「廃棄した」と説明したが、どの時点で廃棄したかは不明確なうえ、交渉過程を正確に検証することができなくなった。加計学園による国家戦略特区での獣医学部の新設計画でも、文部科学省と内閣府との調整記録の一部が個人メモとされ、保存されていなかったことが疑念を呼んだ。

新指針でも懸念はなお残る。新指針では各省の課ごとに保存期間などを判断するとし、行政文書かの認定は「利用状況などを踏まえ、総合的に考慮して実質的に判断される」とした。各省や課ごとの裁量に大きな余地があり、都合の悪い文書を保存すべき行政文書と認定せず、個人メモとして廃棄する道は残る。外部機関のチェックが届かない仕組みも従来と変わらない。重要な文書が客観的なチェックなく安易に捨てられる恐れがある。

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