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上からの雇用市場改革(大機小機)

2017/11/8 16:23
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45歳以上の中高年層の転職が増えてきた。かつてよく言われた「転職35歳の壁」も崩れ、転職後の給与が転職前より上がるケースも多くなっているという。

日本では雇用の流動化は下から進んできた。「新卒一括採用―年功序列―終身雇用」という強固な雇用市場に流動化をもたらしたのはバブル崩壊後の長期不況だ。解雇をしにくい正社員を抱えた大企業は、人件費削減のため新卒・正社員の採用を抑え、コストの低い非正規社員を増やした。

非正規社員は、不況期には「雇い止め」などで調整弁として使われたが、人口減少と景気回復に伴う人手不足で状況は変わりつつある。

市場競争にさらされる非正規社員の賃金は、賃金が硬直的な正社員に先駆けて上がり始めた。前述のように中高年層の正社員も転職を通じ、流動性のある雇用市場に身を置き始めた。

人工知能(AI)の登場で多くの職が将来はなくなるという予測が出るなかで、人材移動を円滑に進める雇用市場改革を求める声は経済界に多い。経営者は、解雇の金銭的解決が柔軟にできるようなルール作りなどが必要だという。

日本の労働生産性を上げて成長力を高めるには正社員も含め労働移動がしやすい市場に向けた改革を進めることに異論はない。

ただ、流動性に欠ける労働市場がもっと上にあることは忘れられがちだ。それは最高経営責任者(CEO)の労働市場だ。大企業の多くではCEOは今でも大学を出てその企業に入った勤続30~40年という生え抜きが多数派だ。大企業で外部からトップを迎えるのは、不祥事や経営危機で追い詰められた時だろう。

生え抜きの経営者には、社内の業務や人材を熟知しているという利点はある。ただ、不祥事を起こす企業でみられるように社内の風通しが悪くなるといった弊害もある。

最近は外国人株主などから「不透明だ」と批判を受け、大手企業・銀行で相談役を廃止したり、顧問・相談役の情報開示を進めたりする動きが出ている。大企業の経営者OBが社内に閉じこもらずに他企業の経営者に転身して活躍する契機になるかもしれない。そうすると、もっと流動的なCEO市場ができるのだが、経営者はそこまでは望んでいないだろうか。

(琴線)

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